実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/11/09 (水) 14:30
三人芝居、落語、オペラ座の道化師、パントマイムと色々あって、色々楽しいという多種多様で意外な組み合わせなバラエティーショー第75回a·la·ALA·LIVEは、前に1回観た時以上に進化していて、終始飽きさせないうえ、前よりも今回は2時間以上で休憩なしと、現代寄席的な取り組みにしては相当大変だったと思ったが、観ている側にそれを感じさせず、さらには観ている側に長い時間もあっという間に感じられるぐらいのパワーを感じ、一気に引き込まれた。
荘厳で激しいイメージのあるクラッシックの代名詞とも言えるベートーヴェンの『第九』を基に、9個のお酒とグラスを用意して、『第九』の曲を水の入ったグラスを叩いて奏でていくがどうも最後のグラスが良い音がでないので、お酒を入れてみるが、入れた矢先から女性のミュージック·クラウン ミマさんが飲んでしまうので意味がなく、最終的に茶碗に変えたところ『第九』として完成するがその頃にはみまさんはお酒を飲みすぎて歩くのもやっとになっているという、とぼけたコメディだが、伝統格式があり、身動きが取りづらく、近づきがたいクラッシックのイメージがつきまといがちなところを皮肉っているようにも感じられ、二重の意味で面白かった。
みまさんが本当によっているかのような身体の動き方には、天性の演技の才を感じ、劇中で本当にお酒を飲んでいたのには驚いた。
女性落語家弁財亭和泉さんの身近な、それもコンビニという身近すぎるところが題材の新作落語は、コンビニあるあるを多少誇張してはいるが、あるあるな内容に頷きつつ、和泉さんの声の変え方、顔つきの変化なども含めて、お腹がよじれるほど笑えて面白かった。
それに弁財亭和泉さんは、巧みに人を引き込むトーク力もさることながら、何がという訳でもないが、出てきただけで存在感があり、それまでの緊張感をほぐして何となく人を笑わせてしまう才を感じた。
パントマイムの山本光洋さんの『私と金魚』における金魚すくいの客と金魚の攻防をシュールに、時に誇張して演じていて、大いに笑えた。
『チャーリー山本』では自虐や決め顔、毒のあるギリギリな発言、山本光洋さんが操り人形に扮し、上で操っている設定の黒子との噛み合わないやり取り、客イジりなど細かい部分を含めて、独特な世界観があって面白かった。
『シースルー·パニック』から断続的に続いた新作劇では、アクが強過ぎる悪役も含めて、個性の強すぎる登場人物が登場する上に、予想に反してお婆さんが透明人間第一号になったり、『妖怪人間ベム』をそっくり音楽も含め流用して使っているパロディ要素もあったり、医療ドラマの一部をパロった部分があったりと、シリアスな場面とコメディ場面が入り混じっているその独特な感じに、ついつい感情移入し劇世界に入り込んで楽しむことができた。