観劇者(再) 公演情報 ADプロジェクト / サンライズプロモーション東京「観劇者(再)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    外岡(とのおか)えりかさんが増々女優として魅力的に。それだけで充分。この人は「た組。」の『壁蝨』やズッキュン娘の『歩いてみやがれ!』などで美人だが性格の悪い苛めっ子ばかり演じる時期があった。顔がアイドル過ぎて役柄が難しいのか。今作の等身大の女性社員役は今後を期待できる魅力に溢れている。ソトオカだと思っていて、何で愛称“とんちゃん”なのか不思議だったがやっと間違いに気付いた。

    『痛快活劇「UMA 未確認生物が地球を救う」再演』の舞台を観に来た面々。席は最後列のM列に座った10人の物語。皆人知れぬストーリーを抱えてここにやって来ていた。

    席番M列の・・・
    ⑤林明寛氏
    ⑥大滝樹さん
    ⑦清水麻璃亜さん
    ⑧吉田翔吾氏
    ⑨毎熊宏介氏
    ⑩長戸勝彦氏(Wキャスト安芸武司氏)
    ⑪井上薫さん
    ⑫外岡えりかさん
    ⑬岩佐祐樹氏
    ⑭伊藤あいみさん

    略称「UMAスク」の初演を観て、各人それぞれの思い入れを持っている。
    「いつかこの舞台が再演される時、主演のツチノコを俺がやるんだ!」
    「こんな吐き気がする程、期待に胸が震える仕事に私も関わりたい!」
    「推しのサトル君がキラッキラッしている!」

    ステージ上段に設置された観客席に座る面々。その上に更に被せる形で各々の姿をプロジェクターで投影。(役者がいなくなってもいいように)。それぞれのエピソードの時だけ役者は下のステージで演じる。それに合わせて投影されたその人の観客席の映像も空席となる。誰が誰だか凄く判り易いし絵的に面白い。

    ⑥大滝樹さんが「舞台俳優推し活」OLを見事に演じる。ガチヲタあるあるで、観客の共感率はMAX。オペラグラスで他の皆とは違う方向を観ているのがツボ。
    ⑧吉田翔吾氏はトイレに人が入っていて、行きたいのに行けないまま舞台が始まってしまう悪夢を存分に表現。これぞこの世の地獄。彼を見る度、観客の方もイライラそわそわして気が滅入る。
    ⑪井上薫さんは流石に上手い。
    普通に面白かった。

    ネタバレBOX

    席番M列の・・・
    ⑤林明寛氏 良い奴だがかなり抜けている酒屋。マッチングアプリで知り合った⑥に惚れている。
    ⑥大滝樹さん 推しのサトル君をずっと応援し続けているヲタの鏡。
    ⑦清水麻璃亜さん 舞台に関わる仕事がしたくて上京した大学生。
    ⑧吉田翔吾氏 生焼けのホルモンを食べたばっかりに、公演中ずっと尿意と便意に苛まれる地獄の男。「もう舞台は諦めてトイレに行ってくれ!」と観客は祈る思い。
    ⑨毎熊宏介氏 役者を目指していたが挫折、今はホームセンターでバイト。昔の養成所仲間が主演を張る舞台に足を運ぶ。
    ⑩長戸勝彦氏(Wキャスト安芸武司氏) 今舞台アンサンブルの父親。昔映画俳優を目指していた。
    ⑪井上薫さん ⑩の妻。娘の舞台を観に来た。
    ⑫外岡えりかさん 「真面目すぎてつまらない女」と云うレッテルに落ち込んでいる。普段やらないことをしてみようとふらり当日券で観劇。
    ⑬岩佐祐樹氏 舞台観劇を人生の中心に置き、その為だけに日夜バイトする男。
    ⑭伊藤あいみさん 田舎に帰る前の最後の東京の思い出としてこの舞台を観劇。

    チケット発売日に取ったのに最後列は酷すぎる。推しのサトル君が河童役なのに、全通しないのはおかしい。(描かれていないだけで全通したのか?)。舞台愛を叫び過ぎるのもどうかと思う。(逆に鼻白む)。エピソードがありきたり、捻りがない。
    劇中劇が音声だけで行われているが、正直詰まらない。

    矢張り、観劇者10人が一人二役で舞台上も兼ねるべきだったと思う。観客、観ている舞台、それぞれの背負ったエピソードが三つ巴となってグチャグチャのカオスへと登り詰める。(鴻上尚史っぽい)。そしてその昂揚のクライマックスに、ツチノコの名台詞「ここからが本番だ!」が決まる。

    再演の度により面白くなりそう。息の長いコンテンツになるのでは。

    ⑨毎熊宏介氏が観劇後役者への未練を断ち切るのがリアルで斬新。大半はもう一度夢を追ってみるのが通俗的なラスト。「俺じゃ無理だと吹っ切れた」と云うのが嘘臭くなくて良い。⑭伊藤あいみさんのキャラにしてもこの作家のオリジナリティーを感じる。

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    2022/05/06 15:07

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