溺れる家族 公演情報 アロッタファジャイナ「溺れる家族」の観てきた!クチコミとコメント

  • 刹那のシーンが醸成する全体像
    前半のランダムにも思えるシーンたちが
    お互いの色を深めあいながら
    これだけ大きな社会感や家族感へ導かれることに
    瞠目しました。
    重なり合う刹那から様々な現代のアスペクトが
    しなやかに浮かび上がってくる・・・。

    深く淡々としたラストシーンには
    切なくともしっかりとした広がりが生まれていたと思います。

    ネタバレBOX

    前半のシーンはまるで重ねられた写真をめくっていくよう・・・。
    いくつかのエピソードのかけらがランダムとすら思える順番で提示されていきます。

    客観的に眺めるいくつもの場面は
    シーンとしての時系列をそれぞれにもって
    次の場面へとつながっていく
    さまざまな様相が生まれ、
    いつしかシーン間が
    次第に絡まり合いながら
    物語の因果となって浮かんできます。

    シーンのつなぎや衣装の工夫が
    物語全体をしなやかに広げていく。
    その中で「格差」、「DV」、「心の病」などの
    概念の裏側に毛細血管のように入り込んだ
    登場人物たちの想いの流れや必然が
    生々しく伝わってきます。

    照明の美しさや、シーンの洗練のなかで
    個々のキャラクターを描く切っ先は
    あからさまに人々の心の内にあるものを
    観客にさらしていきます。
    良いとか悪いとかを言い立てるのではなく
    事実をしなやかに提示していく感じ。

    ステレオタイプには表現しえない
    生々しいいくつもの愛情の顛末が
    時には豊かに、あるいは痛々しいほどに伝わってきて。
    報われる愛もあれば
    満たされない想いを兄にぶつける妹や
    なにかがあふれるように
    妹に花瓶を振りかざす兄もいる。

    終盤で4人家族が同床異夢のなかでの食事をするシーンには
    ぞくっとするような冷徹さがあって・・・。

    観客側でかなり好き嫌いは生まれるかもしれませんが、
    私には、いろんなことを考えさせる深さをもった作品でありました。

    0

    2009/07/26 22:40

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大