廻人〜めぐりびと〜 公演情報 sirenproject「廻人〜めぐりびと〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    江戸時代の吉原遊廓を舞台にした人の悲しみと怒りを絢爛に観(魅)せた物語。上演時間は、途中休憩を挟み2時間20分で、前半と後半で劇風が異なって観える。前半は吉原、遊女(花魁)といった場所や人物の描写を中心にしているが、後半は人が宿す業(ごう)のような情念がアクションを交え立体的に立ち上がってくる。冒頭と最後のシーンに人間の縁を思わせる巧みさ。それがタイトルに通じる。
    (上演時間2時間20分 途中休憩10分含む)

    ネタバレBOX

    舞台セットは中央に階段、上部に衣桁に掛けた色打掛、上手下手に格子窓のようなもの。吉原の見世イメージである。段差があるから、花魁などは優雅に上り下りするが、アクションシーンは逆に躍動感を見せることが出来る。天井には丸提灯、客席側壁には役者の名入提灯で風情を演出する。衣装は人物に合わせ、花魁は俎板帯 着物、警護人の軽装、巫女、そして現代人のスーツといった観(魅)せる丁寧さ。

    冒頭、人に必要とされず自暴自棄になった仁科穂乃花さんが飛び降り自殺を図るところから始まる。場面は変わり、江戸時代末期の文久年間?の吉原へ。花魁の矢島かえ さんを始め、他の花魁や警護人の人柄なりを多少コミカルに描く。吉原を覆う不吉な出来事を得体の知れない者と警護人の攻防として挿入し興味を惹く。
    後半は、脚本・演出担当の亀井美緒さんの因縁・復讐劇のような展開。自身も以前は花魁でもう少しで年季が明ける時、梅毒(リアリティとして台詞のまま)に罹り吉原(見世)を追い出される。いわゆる年季放棄の仕打ちである。相思相愛だった元警護人隊長・わたなべそう さんとも別れる。今、彼は矢島さんと結ばれ、2人の間に子が生まれようとしている。

    亀井さん始め、一見 艶やかな吉原の花魁やそこに居る人々ー人が持っているであろう七味唐辛子「恨み・辛み・妬み・嫉み・嫌味・僻み・やっかみ」を点描して、それらの総体として悪霊的な魔物(者)を作り出す。終盤…巫女の除霊+スピード感ある殺陣シーン、優美な群舞が見せ場だろう。堪能した。なお、吉原・遊女・花魁・梅毒といった女性蔑視の問題も内包しているが、公演の観点としては深追いしない。

    演技は、花魁を頭に遊女という女性ならではの優雅さ、一方 アクションシーンでのキレのある立ち回りといった違いで際立たせる。特に亀井さんは扇踊と殺陣を融合したような動きで美しい。元恋人的な存在の わたなべ さんとの殺陣シーンは圧巻。
    ちなみに、花魁達の名前は卯月・皐月といった旧暦の異称であったが、全員は覚えきれなかった(失礼→よって役名ではなくキャストの名前で記入)。
    音響音楽は和楽器を用いたもので、劇中に流れる音源制作&歌は情緒たっぷりで場面にマッチしたもの。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/03/11 16:21

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