実演鑑賞
満足度★★★★★
失業したばかりの弟、出所したばかりの兄、ボケ始めた父。
男3人家族
40代の今になって、父親の年金にぶら下がるしかないのか?兄弟それぞれの思惑は・・・
開始早々から3人の微妙なニュアンスが伝わってくる巧みな構成。
事態宣言時から現在までの2年たらず、今時の世相を織り込みながら描かれる奮闘の日々。
必要以上に重くなく、軽くもなく、実際はいろんなテクニックが施されているのでしょうが、観ているこちらとしては、彼等のごくごく自然な生活描写をテンポよく観察している感じで、めちゃ好きな演技、好きな演出。
前科者、家族としてはとんだ厄介者だけれど、真っ直ぐな性格がどうにも憎めない兄。
持ち前の小器用さで本来そこそこな生活を掴めていたであろう弟の姿が切なすぎます。
そして散々ほやきながらも迎えが来ると大人しくデイケアサービスに向かう父。
呆けて焦点は合っていなくても見逃している筈の無い息子たちを視る目が、こちら(観客)の目と絶妙に絡み合って切なさは更に深まっていくのでした。
楽しくも厳しい人生賛歌。