実演鑑賞
満足度★★★★
■105分弱■
数々のバカ話をとある趣向によって一つにまとめ上げた作品。全体的構成は上出来とは言いがたいが、くだらなすぎて愛おしくなるようなお話が少なくなく、あれだけの美人が飽かずバカ演劇を追究しているという、そのミラクル、その奇跡に嬉しくなった。
ブルー&スカイさんご出演ということで、久方ぶりに観たgm5だったが、女優陣が捨て身でバカをやっている感じがかつてより薄まっているように思えたのは、単なる気のせいか、はたまた意図的にそうしているのか、最後まで判じかねた。
開場から開演までの、ほぼほぼ30分にわたる育子さんの前説は作品同様あいかわらずエネルギッシュで、惹きつける。歯切れのよいトークで場を盛り上げながらも、「周りの方がトイレとかで中座しようとした時、『なんだよ。。』って渋い顔をするのはやめてくださいね。同じ演劇を一緒に楽しむ仲間なんだから、そこは和やかにいきましょう」(大意)と不寛容を諫めたりするあたりには育子さんの平和志向が感じられ、その姿勢は、お客様を笑顔にさせるバカ演劇を長きにわたって続けていることと、通底しているようにも思えた。
なお、劇中のセリフのほとんどは早口かつ絶叫調で繰り出され、澤田演劇ならではの諧謔と文学味が、セリフの聴き取りづらさ故に十全には汲み取りきれず、もったいなく思えてしまう。前説で「人間の集中力が続くのはせいぜい90分。だからあんまり長くはしたくない」と演劇の尺について持論を述べておられたが、時間短縮のための早ゼリフなら、少し尺を伸ばしてでも、発話の速度を落とすべき。尺を伸ばすのが嫌ならば、いくつかのシーンを割愛するのも選択肢。絶叫調の早ゼリフは劇に勢いをつけるためなのかもしれないが、釈迦に説法を重々承知で言わせてもらえば、笑いは緩急。じっくり魅せるシーンも増やしたほうが、全体的な笑いの量は増えると思う。