実演鑑賞
満足度★★★★
表層的な面白さだけではなく、意味深な公演。
原作はゴーゴリの「死せる魂」であるが、公演タイトルは原作主人公の名前「チーチコフ」にしており、上手いネーミングだと感心というか納得してしまう。物語は小役人の詐欺旅(狂奔)を描いているが、この物語全体がフェイクではないかと思わせる。同時にコロナ禍における或る出来事を連想させ、揶揄というか皮肉たっぷりに描く。
物語は複雑ではないが、その観せ方が凝っており、公演自体が詐欺に絡めた騙し絵のようだ。だから原作名を付けない、そしてチラシデザインが「👅あっかんべー」なのだろう。事実は小説より奇なり というが、19世紀中頃に書かれた原作を後追いするような事件が日本で起きようとは…。舞台の雰囲気は軽妙洒脱であるが、描かれている内容は極めて辛辣だ。
(上演時間2時間 途中休憩15分)
本公演は第33回池袋演劇祭参加作品のため、☆評価は後日付。