第70回公演「ベンガルの虎」 公演情報 新宿梁山泊「第70回公演「ベンガルの虎」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2021/06/19 (土) 19:00

    座席1階

    新宿梁山泊の神髄である、唐十郎の演目。もちろん、状況劇場のころの舞台は見ていないけど、パンフレットで風間杜夫が語る「踏み込んだら危険な場所。怖いもの見たさでテントに入った」という言葉を想像しながら今回の舞台を楽しんだ。

    平成、令和の世での梁山泊のテントは何度も見ているが、やはり最終幕のテント外の借景を舞台に取り込んだシーンが楽しみで足を運ぶ。前回は(前々回?)は下北沢で、背景の「スーパーオオゼキ」のネオン看板がちょっと残念だっただけに、今回は暗い花園神社の境内。今度はネオンに邪魔されず楽しめるぞと意気込んだ。結果はネタバレになるので書かないが、壮大なスケール、度肝を抜くアイデアとその美しさに体が震えた。

    さて、物語は第二次世界大戦での悲劇の地であったインパールの白骨街道をモチーフに進む。客演の風間杜夫が、ビルマの竪琴で現地に残った水島上等兵がいた隊の隊長役。年齢を感じさせないパワフルでユーモアあふれる演技で感動した。風間杜夫は途中の換気休憩2回をはさむ3時間出ずっぱりで熱演し、これぞ役者魂!かという舞台だった。

    梁山泊のお約束の若手女優人らによる歌とダンスは「うっせえわ」。この大熱唱がテント外の歌舞伎町に響いたかと思うと、それだけでおもしろい。今回の選曲は冒頭の曲がナンバーワンだと思う。

    やはり観客を楽しませる仕掛けは満載で、その一つは、競輪の実演である。花月園の舞台設定で、「場外」を駆け回る競輪選手たちにはラストシーン同様、驚かされる。テントでしかできない演出だ。

    さて、物語はビルマなど東南アジアと日本(錦糸町と鶯谷というちょっと猥雑な街)を行ったり来たりして進む。水島上等兵と水嶋カンナという名字の一致が時空を超えていろんなことを想像させる。カンナの母、ミシン売りの男。金守珍演じる産婆のお市など、多彩なキャラクターに彩られるが、何といっても白骨の化身で全身をくねらせて舞台を盛り上げた奥山ばらばはすごい。また、入谷の朝顔市の婆ァを演じたのぐち和美に開演前、客席へ案内され、間近で見る迫力にちょっとたじろいでしまった。

    3時間はお尻もいたくなるし長いが、価値ある時間だ。コロナ禍ゆえ、終演後にゴールデン街でこの舞台を肴に盛り上がることができないのがいかにも残念である。

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    2021/06/20 08:58

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