ストリッパー物語 公演情報 URAZARU「ストリッパー物語」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    つかこうへい の「ストリッパー物語」は未見だったから、自分ではこの素晴らしい公演が今後の基準になる。ストリッパーとそのヒモの究極の愛情物語。人に後ろ指さされようが蔑まれようが愛する人のため、その一途な思いが圧倒的な迫力をもって描かれる。その熱き、そしてピュアな思いが観客の魂を揺さぶる力作。冒頭の妖艶にして力強いダンスパフォーマンスが公演全体を象徴しているかのようだ。
    全てにおいて、本当に観応えがあった。
    (上演時間2時間)【青組】 2019.1.28追記

    ネタバレBOX

    舞台セットにはいくつかの箱馬があり、それを組み合わせることで時々の状況を作り出す。物語の表層はストリッパーとそのヒモの愛憎劇であるが、なぜか離れられない女と男の奇妙な縁が描かれる。それは理屈で論じるようなことではなく、生身の人間が生きている それだけで素晴らしいと思わせる力強い物語だ。もちろんヒモの娘の夢を投影してかつての自分の夢を語る、そこに生きる-夢や希望といった未来志向が見えてくる。しかし事情があって果たせなかった夢を…。

    本筋はストリッパーの明美(月海舞由サン)とヒモのシゲ(高橋ひろしサン)、脇筋がヒモの娘・美智子(酒井瑛莉サン)との心情やストリッパー小屋の人々との交流を上手く織り交ぜることによって、本筋の2人の愛憎が鮮明に浮かび上がる。つかこうへい作品らしく、独特な(力強い)台詞回しが印象的だが、本公演の魅力は、動静二面を巧みに交差させ平面的な描きにしないところ。例えば、現実のシーンは人物がその性格、立場や情況に応じて罵詈雑言、心情吐露を荒々しく動的に強調するが、一方、娘からの連絡は手紙といった情緒ある静的に描く。現代のようなインターネットという手軽な通信手段ではなく、「手紙」を巧みに取り入れることによって一定の期間が必要、その静止/朗読が昭和という時代背景と相まって哀愁とも思える絶妙な余韻を残す。

    堕ちるところまで堕ちる、その怠惰というか惰性的な台詞とは裏腹に愛憎に潜む”真情”を認め合う、それは形を変えた純愛にも思える。場末のストリップ小屋を舞台にしているが、なぜか格調高く清々しく思えるような公演。もちろん時代に合った音楽選曲、心情・状況を演出する暖色系照明など舞台技術も効果的であった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2020/01/18 15:24

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