ホテル・ミラクル7 公演情報 feblaboプロデュース「ホテル・ミラクル7」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    新宿歌舞伎町という歓楽街にあるホテル・ミラクルの一室で繰り広げられる痴態を覗くような感覚の公演。その一室で起こる男女の濃密な痴話を通して人間の、それも身の下相談を見聞きするような面白さがあった。
    (上演時間2時間40分 途中休憩あり)

    ネタバレBOX

    セットは、劇場入口近くにシャワールーム、ベットや冷蔵庫、ソファー、丸テーブルと椅子2脚のリビングセットが配置され、ホテル室内の雰囲気を十分漂わす。客席はL字型で2方向から観ることが出来るが、座る位置によって観え方が異なるかもしれない。例えば、ベット近くに座ると出歯亀(でばがめ)状態だ。窃視(のぞき行為)をしているようで少し背徳感がある。他方、後方客席から観ると客観的もしくは俯瞰したような感覚。それゆえか、ベットはL字のコーナー部分に置かれており、その傍に座った観客(自分)は窃視症かも。
    物語は4話+αであり、それぞれ趣の異なる内容で飽きることはなく、むしろドキドキして観ることが出来る。全体観としては、同一の部屋における時間差で起きている事なのか、同タイプの部屋で同時進行している事なのか判然としない。イメージ的には前者のような気がするが、自分としては、何人かの登場人物(役者)が他の話に現れ、話と話の連携があると、一室における痴話からホテル全体としての痴態が浮かび上がると思うが…。

    上演順に「Pの終活」(ハセガワアユム 氏) 「光に集まった虫たち」(本橋龍 氏) 「48 MASTER KAZUYA」(目崎剛 氏) 「よるをこめて」(笠浦静花 女史)

    「Pの終活」
     3Pの話。中年男・黒田は既婚ではあるが孤独を抱え風俗嬢ユキを指名している。そして黒田は奨学金返済の為この世界にいる理樹を呼び3P行為。しかし黒田の真の狙いは…。1人の中年男がぼんやりとした不安、言葉にし難い心の激情をユキ、理樹を相手にぶつけようと膨らんだ感情話。

    「光に集まった虫たち」
     既婚の中年女と年下の彼氏。虫嫌いの彼女の前に虫が現れ、そのうち正体不明の老女も闖入してくる。男女の会話は上滑りし好きという気持もおぼろげで、老女もいるのか居ないのか記憶とも妄想ともつかぬ奇妙な夢を見ているような錯覚に陥る。光という幻影に集まった孤独と情感という心象を描いた話。

    「48 MASTER KAZUYA」
     戦隊ヒーローものイメージでコミカルな作風。若者は四十八手の奥義を極めた性豪。性技バトル...その男がある女性を満足させることが出来ない。落胆している彼の下へ師匠が現れ、”好き”とはという初心を思い出させる。人を引き付ける、上手く掴めないもどかしさゆえの魅力の考察を性技に絡めた話。

    「よるをこめて」
    職場の上司部下で男女関係にある2人。性欲の女(係長)と醒めた男(主任)、ホテルの一室にいるが行為もなく2人の会話はちぐはぐで成り立たない。そこで平社員の男をジャッジとして呼ぶが…。会社組織における関係は逆転し、女は哀願し男は諦念、さらに平社員は2人からアドバイス料として金を受け取るという皮肉。

    わけありな男と女、腐り縁の男女、現実と夢の境界線が曖昧な関係、泡沫のような光のゆらめき関係、など色々な男女の関係を官能と寂寥感をもって描き出したオムニバス作品、まさに千夜一夜物語である。公演は、感度が非常に良く(欲)、肌理というか触知性に優れたもの。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/10/08 07:15

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