月がとっても睨むから 公演情報 Mrs.fictions「月がとっても睨むから」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/08/10 (土) 14:00

    価格3,500円

    1年越しの新作、脚本家はもう書きたいことがなくなったのだろうか?

    ネタバレBOX

    本来であれば2018年夏のやる予定だった「月がとっても睨むから」。
    完成せずということで去年は大騒ぎの中、代替公演(過去作品の再演メイン)をやりました。

    そして去年の座組はそのままに満を持して、今年。
    「観たい」が四捨五入して5、「観てきた」が四捨五入して4。という数字通りと感じました。

    Mrs.fictionsの過去のどの作品よりも「来るものがなかった」というショック。

    塾帰りの小学五年生2人組の前に現れた、セーラームーンVのコスチュームに身を包んだ女子高生。
    セーラームーンVの大ファンだという少年は駆け寄り、そのまま連れ去られてしまう。
    コスプレ癖のあるショタコン女子高生に1週間監禁され「大人の世界」を経験した少年は、
    優等生から全能感のある悪ガキに変貌を遂げ、長じて大人になって「錦糸町の帝王」になった。

    連れ去り事件から20年後。錦糸町で手広くビジネスを展開する帝王は、経営するラブホテルの一室で
    「ビル・ゲイツいっぱいのドーム3個分」の金持ちの令嬢と愛の営みに勤しんでいた。
    そこでラブホテルの掃除婦になった元ショタコン女子高生と再会し……という筋書き。

    笑いあり、仕掛けあり(ただしありがちな)、という意味では全然退屈しない120分ではあるのだが、
    如何せん心に去来するものが何もない。
    中盤、ショタコン女子高生を「許す」と握手した帝王が突然熱がり、「こっち来るな!」という場面の立て付けもよく分からなければ、紆余曲折を経てラストに再度握手したときに大丈夫だった(もしくは痩せ我慢できた)理由も分からない。

    「虐待された子はさらに虐待する側になる」話も、父親が経営する工場の不振に悩まされていた時期に
    1回手を上げたのを被害妄想的に「虐待された経験」に増幅させただけと言う話になったし、
    少年に対する(羨ましい)性的暴行の罪で、自分を過度に自罰するのも共感できないし……

    結果、女優陣のスタイルの良さに垂涎してみたり、
    キャストの一部が「ミセスフィクションズのまつりのあと」の初演(岡野氏+3人)と再演(安東氏+3人)だー、
    と思いを馳せてみたりする余白が生まれてしまった。

    俳優陣はみなさんとても熱量があって、かっこよくて、ちょっとトチってたけど、総じて良かったです。
    売れないホスト役の人も、初めて観たけどとても良かったです。

    終演後、惜しみないダブルというよりかは、慣例的に感じられたダブルの拍手の勢いが、私と同じように感じていた人が多かったのでは……と感じました。

    長短合わせて10ちょっと観てきたMrs.fictions作品の中では、完全に「ひとつ下」の満足度となり、ちょっぴり残念な気持ちで会場を後にしました。

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    2019/08/10 18:41

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