思想も哲学も過去も未来もない君へ。 公演情報 散策者「思想も哲学も過去も未来もない君へ。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    抒情的な印象の公演。物語の内容は面白いと思うが、独特とも思えるような演出は、観客に相当の集中力が必要であり、それに耐えるのが難しかった。劇団名「散策者」そしてタイトル「思想も哲学も過去も未来もない君へ。」に合うかもしれないが、思索しているかのようなゆったりとした演技は、時として眠気を誘う。好みが分かれそうな公演、個人的にはもう少しメリハリのある演出・演技が望まれる。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    場内の壁は白色、やや下手側にスクリーンのような映写ポイントがある。素舞台で上手の幕を開け役者が出入りする。役者の手には、ポーチ、マグカップ、文庫本などを持ち、舞台上に置いていく。何もないのは舞台設定が廃画廊であり、その内部を探索する様子を描く。

    梗概…冒頭「全6幕、10/12-12/29~或る一冊の日記より」と映されている。廃画廊内の観察と説明が順々に展開される。董子の部屋、その董子とは何者か?その軌跡を辿るような場面。僕が思いを寄せる女性(J)、その女性を巡り友人・堀田との微妙な関係にある心理的状態が綴られる。

    当日パンフレットで主宰・演出の中尾幸志郎氏は「舞台作品というのは、新しい住まいのようなもの(中略)そこで幾人かの人間が、各々の時間を過ごしたということ。そういうことが痕跡として、どこかに刻まれ残るということ。」と記している。だから舞台上で人間が行き来するが、その匂いは人間ではなく街という生活の匂い。そこを散策する人間(登場人物)は全員がカバンを背負うまたは手に持っている。それは人生そのものに何かを背負っており、その大きさ、形状は人によって違うという暗喩のようだ。

    ゆったりと一定のリズムで演じる。映写されて映る字が台詞の一部になる。一見、朗読劇でもよいと思うが、観客に何かしらの印象=痕跡を残したいらしい。台詞は詩のようであり”詩劇”のような感じであるが、”刺激”はない。絶え間なく流れる音楽、この心地良いリズム感や音楽が逆に眠気を…。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/03/26 00:49

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