最期の作戦行動 公演情報 有機事務所 / 劇団有機座「最期の作戦行動」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    1970年代後半から80年頃、ある港町にある喫茶ドルフィンに集う常連客による会話劇。タイトルは「最期の作戦行動」とあり戦争を巡る物語であることは容易に連想できるが…。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    昭和という時代を感じさせる喫茶店内。上手側が店出入口、ピンクの公衆電話があり、下手側にあるカウンター上にはレコードプレーヤーが置かれている。店内中央にテーブルや丸椅子が置かれ当時の雰囲気をそれとなく醸し出している。

    物語は喫茶店に集う常連客のそれぞれの思いが語られるが、主に戦艦大和の元乗組員と自衛隊員の話、芸能関係の仕事に関する話という2つの流れに大別できる。その話の間には(有機的)繋がりがあったのだろうか。確かに戦争の悲惨さを実体験を踏まえ語り伝える世代が少なくなる中で、平和に対する危機感を訴えることは必要だと思う。しかし、その主張を今から約40年前の時代に設定する必然性は何であろうか。今の”改憲論議”に対する思いを観客に委ねたのであろうか? 物語では戦争の語り部である大和乗組員・杉山秀雄が亡くなってからも、芸能関係の話が続く。平和ゆえに出来る仕事という比喩であろうか。

    2つの話がどのような関係で繋いでいたのか分からない。単なる喫茶店での談話の域に止まったと思う。その意味で元戦艦大和乗組員の語りに込めた主張が弱く、もっと言えば伝わらないのが残念であった。理屈を並べることは出来ると思うが、杉山は理屈ではなく心情を吐露し、聞いていた自衛隊員・水野にしても隊員としての任務と現場感情での戸惑いは、あくまで”心情”。この”情”が機微に触れてこない。

    卑小かもしれないが、父と息子の邂逅のきっかけ…元戦艦大和乗組員は新聞の死亡記事に掲載されるほどの人物であったのか。台詞から身寄りもなく、高級士官でもない人物の死亡記事はどうしてか(地方紙_訃報欄ならあり得るか)。
    演出では、場面転換における暗転時間が少し長いと思う。その間に昭和歌謡を流し雰囲気を出しているが、もう少しテンポよく出来ないだろうか(時の刻みは丁寧)。
    そして演技に関しては、力量差がありバランスを欠いていたように思う。
    以上、辛口コメントをさせていただいたが、全体的に当時の喫茶店で話していたであろう談話、時代という雰囲気は十分感じられた公演であった。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/02/17 12:44

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