代役 公演情報 中野劇団「代役」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/07/15 (日)

    『母が人工知能だと知らずに18年生きてきました…』

    「ばぶれるりぐる」を観たくて…でも1本だけの為に大阪に行くのは勿体なくて、ハシゴ先を探していた時に目に飛び込んできたのが、この衝撃的な煽り文句でした。

    名古屋の人なら、劇団ムヂンエキがこの春に上演した「母さんは二次元」を思い出すかもしれません。あの作品の煽りも…

    『父さんは二次元の女性と結婚した。そして今、娘の私がここにいる。』

    ともに…特異なSFショートショートを想起させる、この匂い。

    「母さんは二次元」がまた…SFと高度な精神世界を兼ね備え、優れた想像の余白を持った名作だったから、「母さんは人工知能」にもすごく興味を惹かれたわけです。

    冒頭、おぉ…Voice Onlyかぁ… と、雰囲気たっぷりで始まりましたが、徐々に想像の斜め上を駆け抜けていく舞台。

    これ、めっちゃレイ・クーニーやん。

    以降、ネタバレBOXへ

    ネタバレBOX

    【続き】


    英国を代表する笑劇を思わせる超ドタバタ展開。嘘で危機を乗り越えるも…その嘘がまた新たな危機を招く…それをまた新たな嘘で回避する…するとまた新たな危機が(笑
    登場人物が一人増える毎に破綻の度が増す… 禍福は糾える縄の如し…のまさしく笑劇展開は実に巧み。

    多数の登場人物が裏に事情を抱え、複雑化する人間関係の中で、一つの事象に対し各々が潜ませる表情が実に多彩でコミカル。

    全ての難題を超その場しのぎで捌いていく、父 朋彦。

    秘密をバラされたくない一心で怒涛の無茶ぶりを受け容れる琴音の表情の微妙さ、愛らしさ。
    窮地に無理やりショックを受けてみせる時の壱のわざとらしい演技(演技の中にまた演技があるの面白い)

    津名真夜の超定番的な嫉妬と恫喝のメリハリ。

    素で話をかき混ぜる伯母 穴井惺。山場の告白シーン…観客の視野の外で…絶妙な間でショックを受ける巧みさよ。いずれも笑わずにはいられませんでした。いや、もう疲れるぐらい(笑)

    そして、そんなドタバタから一転しての結末… 前提となる姉と弟の立場をひっくり返してみせる… 弟・壱の幼稚とも思えた行為の意味、保護者然とした振る舞いの裏にあった姉の危うい精神。
    そこまでの行いの意味をドミノ倒しの様に覆していく流れにグッときました。笑い疲れた後にくるから尚更ギャップが効く。全く自分の装いに気を遣わない零の振る舞いはコミカルでしたが、振り返ってみれば、壱と母に全精力を傾けた故の余裕の無さの表れとも感じられる…。

    そして所々に置かれた「不自然さのピース」から想像させる事件の裏側。

    これは私の想像に過ぎないんですけどね…
    全員が察しつつも表向き伏せ続けた事実を、トドメとして最後に突き崩した「龍田のマキナへの呼び掛け」。
    どうにも流れとして無理やり感があったでしょ?
    明示はされなかったけど、やはりこの場で真実を明かそうと画策していた「一部勢力」があったと思えるんですよ。

    私は…その主犯は「浦添」なんじゃないかと思っています。
    勿論、予想外のファクターがたくさんあった結果として、このドタバタになったのでしょうが、…零を呪縛から解き放したい動機は、立場的に彼にあるのが一番自然に思えた。当初から彼のこの家族への尽くし方は生半可ではなかったし… なんで弁当まで作ってんのよ(笑

    父・弟を差し置いて零のもとに最後に残り、零をねぎらった浦添の最後の言葉がとても象徴的でした。
    …あと…謎川も、まさしく謎感ありましたが、彼はぜったい壱に好意あったよね。

    彼もすごく黒幕感あった。壱を諫めるのは彼なんじゃないかと思って、彼の挙動にはすごく注目してました。しっかり反応をみせるシーンもあったし。最終的には外されたけど(;^_^A
    彼に限らず、各々の思惑に応じた反応が楽しくて、見逃している表情は沢山あると思うのでDVD出たら見返したい。
    あとね~、ここまで来ると実母の存在も気になるよね。裏の裏の裏で何か絡んでるんじゃないか、誰かは彼女の手の者ではないか…って想像も膨らんで止まらん(笑

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    2019/01/04 14:10

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