満足度★★★★
物語はラストでどんでん返しするという典型的なミステリー作品。しかし、公演そのものがミステリーで誰が何のためにという疑問を観客に投げかけていた。
説明には「夜の来訪者」---J・B・プリーストリーの傑作ミステリー戯曲(1946年)を、劇作家・内村直也が日本に紹介するべく舞台を戦後の日本に置き換えて翻案し、と書かれている。当日パンフには内村直也(1976年作)と書かれているから、日本の高度成長期を背景に書かれた作品のようだ。
この公演の魅力は、高度成長を通じて、いや現在でも顕著な貧富、格差問題が根底にあり、それをある家族の一夜を通して痛烈に批判するところ。その見せ方は、人の知りたいという知的好奇心を刺激する”推理”という手法を用いているところが巧み。
(上演時間1時間50分)