再生ミセスフィクションズ2 公演情報 Mrs.fictions「再生ミセスフィクションズ2」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/03/16 (金) 19:30

    一滴のアルコールも摂取していないのにほろ酔いみたいな気分なのは、観てきた舞台が本当に素敵だったから。

    再演短編集と言いつつ新作や外部演出家の起用もあって、バラエティに富んだ約95分。4本の短編それぞれにこめられたたくさんの笑いとせつなさと。

    明るい未来や幸せな人生とは無縁の人々ばかり登場するのになぜこんな幸せ気持ちになるんだろう。短い物語の一つひとつに「優しさ」と呼ぶには少し切実過ぎる何かが満ちて、惹きつけられる。

    ネタバレBOX

    『男達だけで踊ろうぜ』:女人禁制のベンチに潜り込んだ女子マネージャーに向ける球児たちの想い。「甲子園に連れてって」という某有名コミックの台詞を想起させつつ、無残な未来を不可避のものとして受け入れる若者たちの輝かしい今を描く。諦念とそれを照らす一筋の光のバランスが中嶋さんらしい。

    『東京へつれてって』:海に近い小さな町から東京行きの電車に乗ろうとするホームレスと彼を慕う元クラスメートのやり取り。さまざまな演出で上演されてきた名作短編を今回はPMC野郎の吹原氏が演出。PMCらしい笑いやテイストを随所に盛り込みつつ、元の戯曲の良さを丁重に生かして魅力的に仕上がった。

    『男達だけで踊ろうぜ2〜Dance with Wolfes』:再演短編集のはずなのに、なぜか新作。女人禁制の応援団に男装して潜り込んだ少女の目的は……。戯画的なキャラクター造形と展開で、少女を取り巻く男たちの馬鹿馬鹿しくもチャーミングな思慕に焦点を当てる。永井豪氏の長編漫画みたいな印象も←!?

    『上手も下手もないけれど』:楽屋で会話する男と女。吹替ドラマのパロディめいた会話で笑い多めに進みつつ、観ているうちに何が描かれているかということに気づいていく。いや、嘘だ、物語が終わる頃にようやく「ああ!」と気づき、胸を打たれたのだ。わずか15分にこめられた普遍性と年月が愛おしい。
    哀しくはないのに涙が溢れそうになる。物語が進むにつれてひたひたと胸を満たしていく感情を、なんて呼べばいいのだろう。長い年月をキュッと圧縮してみせるお二人の変化の細やかさと確かさ。劇中の台詞のとおり、老いた男女の白髪もシワやシミも含めてとても美しかった。

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    2018/12/09 01:52

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