背に描いたシアワセ 公演情報 やみ・あがりシアター「背に描いたシアワセ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    身近な幸せ、足元の幸せは当たり前すぎて見えないかもしれない。タイトル「背に描いたシアワセ」は自分の背中にあるモノは本人には見えない、という比喩であろうか。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    物語は表層的には嫁・姑の典型的なバトルを中心にした家族の物語。
    そのセットは、中央にダイニングルーム、上手側に廊下、玄関がある。舞台と客席間を街路に見立て立ち話をする。そして冒頭から電化製品を連呼する…20インチのキドカラーのテレビ、新しく買ったものはオーブントースターに、電子ジャー、それに冷蔵庫は2ドア。洗濯機は濯ぎまで自動と説明が続くが、実際は舞台上にない。何となく昭和の時代を連想させる。上演後、作・演出の笠浦静花女史に聞いたところ、向田邦子「寺内貫太郎一家」をイメージしたとのこと。そういえばコミカル調であるが、その中に「老い」や「介護」といったテーマ、家族の生活の中に潜むリアルな部分も描かれている。

    さて、嫁姑のバトルは食事シーンが中心であり、その描写を意識したセットが活きてくる。嫁姑の優劣の立場がコロコロと変わりテンポ良く展開していく。バトルの原因をアッサリと”習慣の違い”と言い切り、くどく説明しないところが巧い。2人の争いに巻き込まれるそれぞれの夫(舅と息子)の優柔不断でオタオタする様子が面白可笑しく、思わず頷いてしまう。この家族に近所の人や友人が絡み少し違う展開が…このあたりにラストに驚かされる伏線がある。もっと早い段階でも不思議と思うシーンもあるが…。

    劇中、近所の居酒屋が自分の背中に刺青があると言うが他人には見えない。本人の思い込み、自分の背中は見えないと…そこに先に記した他人からは幸せに思えることが、自分の(身近な)幸せは気が付かないに繋がるのだろう。
    ラスト、バトルさえも幸せであった日々…予測を超えた結末は観応え十分であった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/10/29 19:13

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