嗤うファントム 公演情報 空宙空地「嗤うファントム」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/06/09 (土)

    まず関戸さんに最初に伝えた感想は…「空宙空地、遂に芸術作品を作っちゃったって解釈でおk?」でした(笑)(判る人には判る)

    ヒリヒリする空気と緊張感。背景を想像しつつ駆け引きを楽しむ芝居…とはいえ、観ている最中はどこが駆け引きか本音か分からない…というのがキモで、敢えて言えば、だんだんと誰の言うことも信じられなくなるというミステリー・サスペンスの優れた融合でした。

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    (続き)

    到底そんな時間は無いのだが、ネタを理解した上…2回目で各登場人物の思惑の芝居を楽しみたかった良質の芝居でしたね。とりあえず空宙空地は必ず円盤が出ると信じてるし、作り手は再演できる質と反応の手ごたえも感じているみたい。善き哉。

    さて、ちょっとツッコんだ感想を連ねたいけど、言うまでもなくミステリー・サスペンスで「犯人はヤス」みたいなことは言えないので…極力ぼやかすけど、空気も感じ取りたくないという未見でDVDを楽しみにしている方は回避してくだされ。

    とても複雑な人間関係と背後関係なんだけど、かなり明瞭に某氏が謎解きをするので、複雑な割には表面的なことはしっかり頭に入る構成です。ミステリーが苦手な人も十分に楽しめるはず。そのくせ、カマかけが盛んに行われて、状況も二転三転するので好きな人でも追っかけるのは結構大変。

    そして、核心の人の背後関係は…やはりしっかり謎なのです。そこに深読みしたい人の楽しみが残されている。

    ミステリー・サスペンスなんて、かなり好みに左右されるジャンルだから客を選びそうだし、ともすれば空宙空地が定評を築いてきたジャンルと一線を隔しそうなんだけど、広く楽しめる工夫とチューニングがされてたな…という印象。こうやって、作品の幅と客層を拡げていってくれるといいな… と、ストーキング・ブルース以来の緊迫感が大好きな私は思います。

    ​さて、改めて冷静に台本を読んでいくと…、後で明かされる背後関係も踏まえると…この反応はコレでいいの?って思う個所は結構ある。でも、よくよく考えると、コレは 各人の事情の理解と思惑にバラツキがあるってことなのかな。仕掛け側の黒幕にとって、実は各人は思い通りに動いていないんだろうな…とか思える。

    つか、黒幕ですら「いまそれ言うか(笑)」って発言が出てきて、「動揺」っていうのが上手く表現された芝居だったなって思う。

    一方で、やはり核心の…黒幕の更に裏…HKなんですが。彼の立ち位置と思惑がミステリー好きに残された 深読みの楽しみ。

    作中、彼は他者の反応を窺いながら真相を探っていきますが…あの数々の準備は、真相を予め知らずしてできることなのか…って話ですよ。つまり、最初の仕掛けの時点では受動的立場だったとしても、少なくともこの芝居が始まった時点では、彼は分かっていながら相手を手玉に取れる立場で楽しんでいたってことですよね。

    そもそもやはり一人ではできないことだし、KTとの共闘は合理的。そしてKTが絡むなら、HKはそもそも首謀者的立場にいた可能性もあるわけで。対するYHの主謀的動きにどこまで独自性があったかは分からないですが、KTの誘導がすべてという空気は十分にある。江戸川乱歩の世界なら、HKとKTは同一人物の可能性すらありますよね~。

    そして、ここでの収益が…この入念な準備と細工と時間に見合うか?という話もあって… とてもキャッシュでは見合わない気がする。
    やはり、ここは芸術作品ですか? 立場は違えど、趣旨は全く同じかもしれない。それともサディスト的な楽しみでしょうか? あ~想像するの楽し。

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    2018/08/18 00:31

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