メタルマクベス disc1 公演情報 TBS/ヴィレッヂ/劇団☆新感線「メタルマクベス disc1」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★


    休憩20分を挟んで4時間。次から次へと目先はどんどん変わる。こういう仕掛けを前提とした劇場は演目にも工夫がいると痛感した。
    前年上演の時代劇と違って、マクベスは活劇ではなくて人間ドラマである。王冠簒奪の話ではあるが、人間のドラマが多彩に描かれているからこその名作である。その素材を、ラウンド劇場で、ミュージカルで上演する。客席千を越える大劇場では、どうしても実尺の俳優と観客の距離は遠くなる。人間で足りないところ(両端)は映像で補うから映像の比重は高くなる。昔々の連鎖劇は、映像も昔々のレベルで舞台とつながりやすかったが、今の観客になじみのある映像はCGを駆使して何でもできる。メタルマクベスは、2200年代と、1980年代、それにマクベスの物語の時代と、三つの時代を往復するが、未来も過去の映像も、それなりの金をかけて作られていて、劇場機能の回転する客席も全く抵抗がない。しかしよく出来ていればいるほど、舞台の実尺のマクベスとの間には距離ができる。これはヘビメタのミュージカルにしたくらいでは埋まらない。かつての新感線公演で旨く行ったのは劇場が狭かったからで、俳優と観客が直接あいまみえたからだろう
    マクベスは橋本さとし、夫人は濱田めぐみ、客演者に加え新感線出身者とキャストも工夫されているが、ここでやる芝居の新らしさがない。二幕の終盤で、マクベスと夫人が、人間には箱があって、箱以上のものを望むと破滅する、自分たちはそうだったのか、と嘆くくだりがヘンに実感を伴う。演出者にはわかっているのかもしれない。
     いのうえひでのりはよく勉強もし、ときに大胆、ときに慎重、という用意のいい演出家だから、この劇場を新しい舞台表現の場として何かまだ見たことのない「演劇」も作れる可能性がある。今回は一つの試みとして、今後に大いに期待したい。
     現に、こういうイベント型と言うか、観客参加型、とでもいうべき公演は増えている。演劇のサーカス化と批判もあるがそれぞれに面白いものが出来れば観客は満足するのである。 しかし、機能頼りと言うのは難しい。超一等地にありながら、結局、演歌歌手の歌芝居が定番になってしまったかつてのコマ劇場の壮図の末路もちらつく。もっともこっちは劇場の場所も辺鄙だし、作りもあっさりしているが。
    辺鄙と言えば、この劇場は、すぐ前にある魚市場が開いていない現在、周囲に何もない野原の一軒家で、東京のレールとしては馬鹿高いゆりかもめしか便利な交通機関がない。少し歩けば銀座まで行けるバスがあるが、夜になると本数も少なく、やむなく15分は歩いて有楽町線の地下鉄まで行かねば帰れない。熱帯夜はこたえる。利益は出ないかもしれないが、開く前と、幕間には盛大にケイタリングカーでも出したらどうだろう。現状は劇場にあるまじき惨状で、とても商業劇場とは思えない。


    0

    2018/08/03 11:44

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大