満足度★★★★
鑑賞日2018/06/28 (木) 14:00
共同体の解体、崩壊、あるいは変質。
それは、人の死と同じくらいに必然的、絶対的つまり不可避的なものだ。
それを、世界であれ、都市であれ、あるいは家族であれ、どのレベルでも、描くことは1つの物語である。
さて、今回は1985年のスペインでルームシェアをする3人の男女の物語(アルベルトの母もある意味、その構成員の1人かもしれないけれど)。
後半の共同体の解体、そして再生という部分はとてもよく描かれているし、役者個々が醸し出す情緒・切なさにはいたたまれないものを感じる。
ただ、この脚本、演出家の方は絶賛しているのだけれど、前半が弱くないかなあ。前半のハイミートが銃の誤発で怪我をするまで、物語はサクサクと進みテンポよく、適度ないら立ちと笑いを誘うし、3人の性格描写も説明し過ぎずに表現している。
だけれど、肝心の3人の関係性・バランスがよく見えない。3人の感情の絡み合いの表現が希薄なので、せっかく後半の展開が今一つ弱いように感じる。
ハイミートとチョーサの関係は、単に従兄妹、大麻の密輸販売仲間というべきもの以上のものは出ていないように思う。
また、ハイミートとアルベルトの力関係や相互評価も、男の同居人として見れば必要不可欠な要素のように思えるが、全く見えない。
まあ、そもそも警官のアルベルトと麻薬売人のハイミートとチョーサが、なぜ同居しているのも判らないし。(圧倒的にリスクがあるのはアルベルトなのだし)
(ネタバレへ)