1001100000110101000100101 公演情報 しあわせ学級崩壊「1001100000110101000100101」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

     開場中から舞台下手奥のDJブースで演奏があり、出演者は舞台上で柔軟運動や発声をしながら待機していました。舞台面上部には割れたコンクリートがむき出しになっており、廃墟とおぼしき空間の中央には木製のイス5脚とテーブルが1つ。上下(かみしも)に数本立っている細い木の柱に、凧糸のような白い紐がゆわえつけられ、数本の白い線になって舞台を横切っています。舞台面の上下(かみしも)には舞台と客席を遮る木の柵もあり、出演者は舞台上に閉じ込められているようでもありました。

     物語があって出演者が役柄を演じるのですが、DJが流す大音量の音楽に合わせてマイクを通してセリフを言うことが多く、次々に楽曲を披露していく音楽イベントのようにも思えました。

     当日パンフレットによると脚本・演出・演奏を手掛ける僻みひなたさんは24歳になられたそうで、「24年間のことと、その1日1日のことを思い出しながら、劇を作った」とのこと。登場人物は皆、作者の分身なのかしらと想像しながら拝見しました。

     開場時刻が10分ほど遅れ、初日はあいにくの雨だったこともあり、細い階段から客席への誘導は少し手間取っていらっしゃいました。全席自由ですので劇場へはお早目にどうぞ。ロビーで本作の戯曲本を購入しました(800円)。

    ネタバレBOX

     出演者は白い衣装を着た女性5人と男性1人。DJブースの男性1人もそのまま演奏を続けます。女性は10代の五人姉妹のようです。男性は“これから生まれるはずの命”らしく、しきりに“お母様”を探し頼っていました。丈が長い目の白いスカートに裸足、髪には白いリボンというスタイリングはいかにも少女らしく、現代日本で男性が女性に求めるのは相変わらず母性と少女性なのかと考えることになりました。

     自分勝手で悲観的な若者たちが甘えたりケンカしたりしながら、悲劇の主人公のように悩みや怒りをぶちまけていきます。「特別な人間になれなかったのは自分のせいだ、私が悪いんです」という自省と自己嫌悪がするりと自己憐憫に変化し、結果的には他人のせいするような会話が多い印象を受けました。「ごめんね」という謝罪のセリフもありましたが、大きな声で相手にぶつけるので、「このままの私を受け入れて許せ」と要求しているようでした。「いつまで許しを請えばいいんですか?」と怒鳴って開き直ることもありました。「名前をください」などと言い、他者に頼らなければ自己を確立できない未熟さもさらされます。個人的には、そういう姿を俯瞰して、より滑稽に見せて欲しかったです。

     2011年3月10日から12日までの3日間を示すセリフが繰り返され、東日本大震災が起こった日とその前後も描かれたようでした。僻みひなたさんは当時17歳ぐらいだったのでしょうか。ご自身の人生において大きな事件だったのだろうと思います(私にとってもそうです)。ただ、東日本大震災は東京電力福島第一原発事故も含め、現在進行形の複雑極まる災害であり人災です。なんでもない日常に亀裂が入るという意味で用いる題材としては、ふさわしくない気がします。

     ラップはままごと『わが星』、繰り返しはマームとジプシーに似ていると感じることが幾度かありました。残念ながらありふれた言葉の繰り返しにはあまり効果が感じられず、テキストを刈り込んで上演時間を短くしてもいいのではないかと思いました。

    0

    2018/06/12 17:28

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大