カッター 公演情報 シアターノーチラス「カッター」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     いつも通り丁寧な作り。(追記2018.5.13 01:18)

    ネタバレBOX

     街場のデザイン事務所、代表を含めて社員は8名(2週間前迄)だったが、うち1名は2週間前に自死。現在は7名で仕事を回している。だが、自殺したのは、最もセンスが良く、仕事の出来も良く、クライアントからの信用も厚い上に同僚からも爽やかな奴と見られていた社員(榎本)だったので、彼の死後、会社全体が何やらぎくしゃくしているのも事実である。彼の自殺の原因は、この所、皆の使う電車の車内で女性のスカートが何者かによって切られるという犯罪が起こっており、警察がこの事務所にも捜査に来、その際最も長時間警察から尋問を受けていたのが原因で、彼がその犯人だと疑われたことであった。
     だが、彼の死から2週間後の今朝、出勤して来た女子社員のスカートが切られていた。ということは、自殺した榎本はシロだったということではないか? この疑義が、では真犯人は誰か? との問いを各自に促した。一番仕事ができた榎本が亡くなり、他のメンバーでは彼の埋め合わせができない中で、仕事上のストレスと疑心暗鬼が、都市生活者のアイデンティティーの脆さと人間関係の浅さを詳らかにしてゆく。根底にしっかりした信頼関係が無い都会人の上っ面だけの信頼やスマートな人間関係はあっという間に崩れ落ち、瞬く間に現れたのは、猜疑心、妬み、コンプレックス、自己否定、空虚等のマイナス感情であった。疑いは疑いを呼び、互いに消耗戦に入った。
     だが、7名の中にキーマンが居た。そのキーマンは、総ての謎を解く鍵を握っていた。然しその人物は、真相を警察に話そうとは思っていないし話さないだろう。キーマンがキーマンたり得るのは、その人物が榎本のことをいつも見ていたからであり、彼が自殺した時にも彼と話していた。
     一方、社内コンペの対象にすらならない作品ばかりを創っている社員は、クライアントと自分達デザイナーの現実的社会関係を理解できておらず、自らのファンタジーを社に持ち込んで作業に従事しており、その傾向は今後も変わる気配を見せない。そんな彼女のデザインした、子供向けツールの中には、たくさんのカッターが入っていた。(幕)

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    2018/05/11 00:12

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  •  追記しておきました。
           ハンダラ 拝

    2018/05/13 01:19

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