「カワサキさん家のかたち」 公演情報 お芝居空間イスモナティ「「カワサキさん家のかたち」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    父親の葬儀翌日におけるありふれた家族の物語。普通であれば淡々と過ごすところであるが、小さな騒動が起きる。その騒動を通して家族の絆の確認、再生、そして出発、そんな心温まる公演であった。
    自分の好みもあるが、演出で少し気になるところが…。
    (上演時間1時間20分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、暗幕で囲い正面に白い家型の衝立(壁)、間隔を空け両端にも白い衝立。中央に白いテーブル、椅子が置かれている。舞台と客席の間には白い仕切り板。まるで額縁状の舞台、鯨幕の中での公演のようだ。

    父の葬儀が昨日終わり、ホッとした様子で姉と妹がお喋りをしている。何気にラジオの番組が聞こえてくる。この家族(カワサキ家)は姉・ハルナ、妹・マミ、そして家出中(独立して生計する)のタケルの姉兄妹である。母は妹を産んだ時に亡くなり、姉が母親代わりにタケル、マミを育ててきた。この3人は、それぞれの立場で思いやりを育んでいる。姉はタケルやマミの母親代わり。タケルはそんな姉が疎ましく家を出る。マミはハルナが自分のせいで結婚できないと気を使っている。そんなハルナに結婚を申し込んだ男が現れ…。

    ハルナは自分の気持より家族優先という気負い、タケルとマミはそんな気持は分かりつつも鬱陶しい。もっと自分の気持を大切にしてほしい。そのお互いを思い遣る気持のズレ、空回りが面白可笑しく描かれる。そんな状況を見透かしたように、亡き父(生登場しないが、遺影としてテーブル上-電球頭と呼ばれていた)はラジオ番組にあるメッセージを投稿していた。それがDJによって読み上げられ号泣する3人。

    タケルは、当初エロ漫画を描いていたが、今は少女漫画の流行作家になっている。次回の掲載テーマは「普通の家族」らしいが、自分は普通の家族に育った自覚がない。しかし葬儀、姉の結婚問題、父の思いを知ったこと、それによって「家族とは?」を改めて考えた様である。ラストは予定通りのハッピーエンドである。

    脚本は葬儀・家族を扱った定番、それこそ”普通”であったが、心温まる公演である。しかし演出は、葬儀という雰囲気の中、激情したかのような大声に違和感を持つ。また葬儀ということを知らずに来た婚約者オオガミ シュウイチの衣装が喪服のようで不自然に思う。自分の好みであるが、必ずしも葬儀=厳粛という雰囲気に描く必要はないと思うが、もう少し落ち着いた穏和な展開であっても…。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/04/30 15:33

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