満足度★★★
鑑賞日2018/03/27 (火)
会社経営者の娘に生まれ、将来はその経営に携わることを決定付けられている彼女の夢は美術修技術者。
父のいない彼女に絶対的な影響力を持つ母親に逆らいながらも逆らえ切れないジレンマ・・・そんなときに出会った一枚の絵は彼女をパリへといざない、勝利の女神のニケへ、そしてニケのいたギリシャのサモトラキ島へと導いていく・・・・そして、幼い頃の記憶から消された父親へとたどり着く。
母と娘の関係は、いろいろありますよね。
母親は反面教師であり、水先案内人でもあります。娘は愛しい小さな分身だったのですが、いつの間にか自分を追い越していくまぶしい存在でもあります。彼女を手放し、一人前の人間であると認めた時の寂しさと嬉しさはなんとも言えない気持です。
若い感性を瑞々しく演じた那須凛さんが、娘と重なります。
おかれた環境はまったく違いますが、自分の力で人生を切り開こうとする前向きな姿勢に心配と声援を客席からおくってました。
舞台の上には、愛がたくさんありました。
それぞれの愛が、とても温かくて、それでいて切なくて・・・ひとり、ひとりの生きてきた道が、抱いてきた愛が、時間を超えて、また受け継がれていくのです。
美術の修復もそんな仕事かもしれないと思いました。
そう言えば、主人公の理沙は父とわかっても「お父さん」とは呼ばなかったなぁ。もうこの世にいなくても、いつかそう呼べる日が来るといいなと・・・ちょっとしんみりしました。
若い感性とベテランの深さが素晴らしい舞台でした。
ありがとうございました。