ストラタ 公演情報 一十口企画「ストラタ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     タイトルのストラタはウィキで調べると、どうやら3Dプリンタなどの製造メーカーらしい。(華5つ☆)終演後発表部分追加 2018.4.9

    ネタバレBOX

    シュールなシーンがたくさん飛び出す芝居だが、この手法自体が芝居をメタ化する方向に働いている。それも極めて有効に。

     物語は、単純だ。或る男が、交通事故を引き起こした。被害者は3歳の男の子。場所は世田谷区の一角。小屋入口の脇が小さな踊り場に設えられこの踊り場に接するようにして家屋の壁。壁には小さな窓があり、普段はカーテンで仕切られている。踊り場から小屋の長辺に沿って奥の方まで歩道が延びており、奥の壁の手前1mほどの所で切れているが、この切れ目には、車両の進行方向を記した掲示板。歩道が車道に面した場所に信号機操作盤があり、板突き当りはスクリーンになっていて、この先の道路が映し出されている。
     異様なのは、丁度歩道の切れる辺り、天井部分から電線に巻きつかれた子供用自転車が宙吊りになって居ること位だ。この自転車こそ、被害者が撥ねられた時に乗っていたチャリである。
     さて、撥ねられた子供は、大きな音にカーテンを開いた主婦が連絡を取り、救急車で病院に搬送されたが2日後に息を引き取った。運転手は、子供が急に飛び出してきたのだが、動転していてどこからどのように飛び出してきたのか定かでは無い、と主張。運転手にも子が生まれたばかりでもあり、警察の細かい調査は、後回しになっていたのだが、この日は、被害者の母親、運転手とその妻子らも現場に集まることになっており、担当刑事も到達したのだが、中々被害者の母親が現れない所へ通行人が通りかかり、色々と詮索をしてくる。信号機が変わらないのをいいことにああだ、こうだと口を挟んでくる等々が非常にシュールレアリスティックに描かれてゆく。刑事は刑事で自分はインコだと言い張るばかりでなく実際、そのように鳴き、仕草も鳥のような場面を多々演じる。そこに現れる運転手の母は、何やら意味不明の言葉と通じる言葉のちゃんぽんで話す等々。
     一方、歩道に面した家の主婦には、小さな子供が居て子供は事件の現場を見ていたということが判明した。他にも特殊なことがいくつもあるのだが、大人は全員、シュールレアリスティックな世界の住人であるのに対し、唯一子供だけがノーマルで物語全体の錘として機能している。扇で言えば要部分だ。主として歩道で展開する物語のキモ部分は、終演後に明かそう。

    以下終演後に発表する部分だ。
     大人達が総てシュールなのは、要するに人工的な世界に生きているからである。通行人らは総て事故に関わる人々をからかうかのような野次馬(世間)であり、人が死んでいるにも拘らず、無責任極まる批評や茶々を入れて楽しんでいる。これらの大人の行為を対象化しているのが、自然でしかない子供である。この子供が居ることで、この人工的な檻が即ち大人達のベースになって観客という第三者に提示される。この構造が、作品をメタ化しているのである。一見、何気ないシュールレアリスティックで不思議な遊びに見えるかも知れないが、ちょっと構造を考えてみるとこのような面白い観方が可能である。

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    2018/04/07 00:45

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  •  終演後発表部分アップしました。

    2018/04/09 16:43

     とても面白い作品でした。キモは後程。ホントのネタバレになってしまうので。

    2018/04/07 00:51

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