小栗上野介忠順 公演情報 劇団め組「小栗上野介忠順」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    め組は、2018年が明治維新150周年ということで春・夏・秋に幕末維新シリーズの公演を予定しているという。本公演はその第一弾「小栗上野介忠順」である。幕末幕臣では勝海舟と共に有名人物であるが、その実績はあまり知られていないかもしれない。
    物語は、西南の役の前_ある春の夜に語られる回想形式にして小栗の人物像を描き出していく。
    (上演時間1時間40分) 【Bチーム】

    ネタバレBOX

    セットは、立体的に迫り出した壁に世界地図イメージのオブジエが飾られているだけのシンプルなもの。その中で「 小栗上野介忠順」という人物が生き活きと描かれる。それだけ物語の展開が、人物歴を順々と説明するだけではなく、その人柄なり当時の状況が実に分かり易く描いている。

    物語は上州権田村の東善寺(小栗の墓がある場所)に賊が侵入し何やら探している。小栗は徳川の埋蔵金を江戸城から持ち出し隠したという逸話があった。賊はそれを狙っていたが、その日は官軍によって打ち落とされた小栗の首が寺に戻された供養の日であった。その場に現れた勝海舟と元薩摩藩士・柴基次郎から小栗の人物像が語られていく。

    アメリカへ修好通商条約交換のため差遣された。その帰路、彼は日本人で初めての世界一周を果たす。さらに横須賀製鉄所(造船所)の建設、陸軍伝習所(洋式軍隊の養成のため)を開くなど幕府だけではなく、後の「日本」の近代化のために数々の偉業を成し遂げたという。幕臣の2傑(小栗上野介忠順と勝海舟)を対比するような描き方で、先に記した業績を踏まえ、主人公の魅力を強調 している。無責任な態度が国を滅ぼす、時の中に命を刻む、自分の未来・人生を生きる等真摯に生きた人物ということが分かる。それは現代にも通じるところであろう。教科書的にならず芝居という生きた役者の中に”小栗上野介忠順”の魂を観た。
    また、徳川埋蔵金はアメリカから持ち帰った「ネジ」を示唆するようでウイットに富む。表からは見えないが、それ(ネジ)がなければ全てがバラバラになってしまう大切なもの。足元と未来をしっかり見据えた人物像が立ち上がってくる。

    セットは、例えば渡航シーンはサークルを船先のようにしたり、対米交渉はサークル内といったシンプルなもの。一方、音響は汽船・波濤また雄大な音響・音楽効果が印象的であった。
    最後に、人物像の中で、将軍・慶喜の覚悟を促すため江戸決戦を主張したとあったが、その結果、江戸城下を戦禍(渦)にし庶民が犠牲になることも…。そこに幕臣という立場が垣間見えたが、その立場こそが人を形成していると言えばそうなのかもしれない(完璧な人間ではない)。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/03/31 09:06

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