『部屋に流れる時間の旅』東京公演 公演情報 チェルフィッチュ「『部屋に流れる時間の旅』東京公演」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    これは能だ。
    それも夢幻能。
    名乗りから始まり、亡霊(幽霊)が登場するところなど。
    チカチカする照明や何かわからないが、回る白いものや石。
    それは「能」で言うところの「囃子方」にも見えてきた。

    (後はネタバレboxへ)

    ネタバレBOX

    冒頭で「目を閉じてくれ」ということを役者が言う。
    舞台の上を暗転させたり、幕を下ろしたりする(トラムに幕が下りるかどうかは別として)のではなく、「目を閉じさせる」(従わせる)ということに意味があるのだ。
    そう言われたから観客のほとんど(たぶん全員)は「開けていい」と言われるまで目を閉じていた。

    観客は特に何も考えずに指示に従う。
    (舞台上の)部屋に流れる時間は、過去と現在と、過去から見た未来とが交わる。
    演劇では別に特殊なことではないが、過去の現在が「幽霊」として存在する。

    観客は「目を閉じて」「目を開けて」、部屋に流れる時間の中に連れてこられた。

    私たちは過去になってしまったもの(コト)をいつまで覚えていることができるのだろうか。

    幽霊になった妻は、いったい誰が見ている(見せている)のだろうか。
    思い出す夫が「見せている」のか。
    あるいは「思い出さない」夫の「過去」から幽霊は現れることで呼びかけているのか。

    椅子に座り、ゆらゆら揺れる男の足が、どの時間軸に「足」を置くこともできずにいるのだろうか。

    あの「ゆらゆらする足」にとても不安を感じてしまう。
    「過去からの呼びかけ」に気づくことなく、ゆらゆらしているのだから。

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    2018/01/06 06:03

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