11月歌舞伎公演「坂崎出羽守(さかざきでわのかみ)」「沓掛時次郎(くつかけときじろう)」 公演情報 国立劇場「11月歌舞伎公演「坂崎出羽守(さかざきでわのかみ)」「沓掛時次郎(くつかけときじろう)」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「坂崎出羽守」作:山本有三。
    とにかく全体的に暗くて重苦しい。

    「沓掛時次郎」作:長谷川伸。
    ご存じ長谷川伸の股旅物。

    ネタバレBOX

    「坂崎出羽守」作:山本有三。
    とにかく全体的に暗くて重苦しい。

    大坂夏の陣の際に、徳川家康から「千姫を大坂城を救い出せば、千姫を嫁がせる」と言われ、燃えさかる大坂城から千姫を救い出した坂崎出羽守が主人公。
    しかし救い出された千姫は、坂崎の元には行きたくないと言い出してしまう。家康も可愛い孫娘には強く言うことができずに、策を弄する。家康側は、千姫は尼になると坂崎に告げる。しかし千姫は美男の本多平八郎に心を寄せてしまう。

    坂崎にとって千姫は、初めて好きになった女であり、本多平八郎に対抗心を燃やすのだが、不器用さでいろいろと裏目に出てしまう。
    千姫が自分を嫌うのは、千姫を大坂城から助け出したときに顔に負った醜いやけどのせいだと思っている。そこが彼の問題。

    ラストは、坂崎が思い余って本多平八郎に嫁ぐ千姫の行列へ乱入してしまい、それにより切腹してしまうというもので、主人公の坂崎が、背中に悔しさを滲ませながら、客席に対して後ろ向きの姿で終わる。表情は見せない。後ろ姿で語る。

    坂崎を演じる尾上松緑さんが、悔しさや後悔、嫉妬など様々な想いに、ただただ無言で立ち尽く姿が凄まじい。負のオーラをじわりとまき散らす。無言で長い時間立ち尽くすというのは、歌舞伎では珍しいのではないだろうか。


    「沓掛時次郎」作:長谷川伸。
    ご存じ長谷川伸の股旅物。
    中村梅玉さんの体調が良くないのか、声に張りがなく、全体的に勢いがないのが少々残念。

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    2018/01/05 17:59

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