蒲田行進曲 公演情報 “STRAYDOG”「蒲田行進曲」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     つか作品の上演で観客を満足させることは難しい。

    ネタバレBOX

    スピード、テンションの高さ、そして作品の本質である差別を掴み、被差別性に屈折しながらも人としての矜りの為に、人生の難題にぶつかってゆく痛みや苦闘を、はにかみを持って過不足なく演じるのが並大抵のことではないからである。
     今作、この難題に見事に応えた。銀四朗役が、大体、上記のキャラである。が、今作、この構造が2段階になっている所が、傑作の傑作たる所以だろう。小夏をも含めるジエンダー思考で行けば、一部3段階とも取れるのだ。
     何れにしろ、安次の銀四朗に対する態度、そして位置が、差別される者から差別的扱いを受けつつ、掛かるが故に崇拝するというマゾヒスティックな逆転にまで達していることが、今作の構造上の強さである。無論、ズべ公扱いされる小夏が、人間の女性というより時に物として扱われている点からも、このことを指摘することは可能である。
     と同時に女性に対するこのような男の態度が、一種の甘えであることも見逃せない。原作者のつかは、無論この辺りのことも分かった上で書いている訳だし、彼の心の底にある温かさやはにかみ、その柔らかな人間性を充分に作品から受け取るから、誰も文句は付けないのだ。その辺りの事情もStraydogが理解して今作を創っていることが、良く伝わる舞台であった。銀四朗役、小夏役、安次役の演技の良さは無論のことだが、監督役が階段落ち本番の号令を掛けるシーンでは、顔が締まって男の顔をしているのがとても良い。また、ポスト安次を狙った大部屋役者の演技も良かったほか、殺陣のスピード感や技術、体のキレなども良い点が印象に残った。演出的には、殺陣に始まり殺陣に終わる構成で、ファーストシーンとラストの殺陣で配役が若干変わっている点などがニクイ。音響・照明の効果などもグー。

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    2017/11/22 23:52

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