子ゾウのポボンとお月さま 公演情報 劇団印象-indian elephant-「子ゾウのポボンとお月さま」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「人魚姫」を連想するような話。もっとも結末は違い優しい気持ちにさせられる。
    説明文…「偶然出会った、人間の女の子を好きになり、ポボンはお母さんゾウに尋ねます。『ゾウすればボクは人間になれる?』ポボンは人間になるために、一生懸命努力をします。そして、ついに…」というもの。
    表層的には、子供も楽しめる見せ方、内容になっているが…。

    (上演時間45分)

    ネタバレBOX

    舞台は素舞台。ゾウのポボンは擬人化ではなく、被り物で子供にも直ぐイメージ出来るようにしている。
    さて、「人魚姫」は王子のそばにいたいがために美しい声を失くし、最終的には自らの命をも失うことになる、という叶わぬ恋の物語である。本公演も女の子に恋をして人間になる努力をする。さて、演出として事前に観客何人かにバナナを渡し、ポボンが鼻で回収し食べるという場面がある。ゾウの特徴である鼻を強調させる。

    人もそうかもしれないが、恋した弱みであろうか、相手に色々なことを合わせる。ゾウのポボンも人間になったら鼻がなくなり…。子ゾウに人間になる方法を教えた母ゾウは何て思うのだろうか。わが子が別の生き方を選択したことを、喜ぶのであろうか、悲しむのであろうか。

    当日パンフに作・演出の鈴木アツト氏が「タイ・チェンマイのエレファントキャンプでゾウが鼻で絵を描いたり、サッカーボールを蹴ってシュートしたりするショーがありました。また観光客がゾウの背中に乗って広い公園内を散歩することも出来た。ゾウは好きでやっているわけではないですが…」と書いている。
    穿った見方をすれば、人間(少女)がゾウを人間の世界へ招き入れたようにも思え、そこに優しさと意図しない思惑が透けて見えるようで怖さを覚える。表層ファンタジーの世界に潜ませた寓話のような。
    まさしく「人」と「象」という「像」が、不平等(迎合)愛という虚像として立ち上がってくるのだが…。
    この公演の音楽は、大きく包み込むような優しさを感じる。終演後、鈴木氏に確認したところスタッフによるオリジナル曲だという。お見事でした。

    当日は就学前の子も観に来ており、楽しんでいた様子。ぜひ続けてほしい公演である。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/10/20 18:55

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