絢爛とか爛漫とか 公演情報 パショナリーアパショナーリア「絢爛とか爛漫とか」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    平成29年度’(第72回)文化庁芸術祭参加公演…パショナリーアパショナーリアの旗揚げ公演でもある。この「絢爛とか爛漫とか」(2007年)は飯島早苗の作。ちなみに2007年に男女雇用機会均等法の施行規則が改正され、女性だけではなく男女双方に対する差別の禁止が盛り込まれた。
    この公演は、物語の文学に情熱を燃やす女性群像を、そのまま演劇の世界に身を置いている女優陣ならびに演出家そのものを描いているようだ。
    当日パンフの「ご挨拶」文には、出演女優や演出家(山田佳奈女史)等に対することが紙面の大半を占めている。それだけ互いを意識している証であろう。
    (上演時間2時間5分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、上手側に書院机、蓄音機、鏡台。下手側に桐箪笥、籐椅子、布団。中央に七輪、座布団という和室。奥には障子戸、それを開けると枯れ木の風景。両袖には大きな垂れ幕。

    「昭和モダン」と呼ばれた時期の女性4人が集まり、熱心に小説談義をしている。その「書く」ことに対する色々な思いが、各人の視点で語られる。冒頭はジャズに合わせて踊りながらの登場。その滑稽な出だしに身を乗り出し笑う。
    梗概…デビュー作以来、一本も書けていない作家・文香(町田マリーサン)の部屋に集まってくる作家仲間のまや子(佐渡寧子サン)、すえ(中込佐知子サン)、薫(野口かおるサン)。才能とは、自分とは何か。葛藤、羨望、嫉妬、友情、そして恋を心地よいテンポで描いている。その思いは情熱的に、また叙情豊か、そして深淵を見る時もある。ラスト、文香がまや子に新作の構想を語る場面は圧巻である。自分の文才に疑問を持ち、足掻く心の中(うち)を書いたような物語(「湧き水を足で掻き回して濁している」との台詞に呼応して)。訥々と語る文香...その内容に心魂揺さぶられる。

    公演の4女優に、この4人の作家が投影されているような気がした。物語で描く女性像は性格・振る舞いを誇張して描いているが、それを演じている女優も演劇の世界で切磋琢磨していることがうかがい知ることが出来るようで興味深かった。

    この公演の見所、それは4人が典型的な当時の女性像を表していると思われるところ。文香は、文学で身を立てたい。その才能と向き合い苦闘する姿が知的女性のようである。まや子は、先進的であることを望みつつも奔放と古風の両面(客観性)を持つ、評論家志望。すえは、旧家に育ち父母の愛情に疑問を呈しつつ、母への反発が父への思慕へ倒錯するような。猟奇・狂気という作風。薫は、庶民派の代表のようである。自由な発想と創作姿勢が生きた文学になる。実は子供が産めないため離縁された経験もある。当時の「家制度」を考えさせる。

    この4女優の演技が実に自然で...芝居の面白さを堪能させてもらった。
    そして、この四季を表現する演出が見事。春は桜と花びらが舞い落ち、冬は枯れ木と雪...というように陰影する。公演全体の時の流れに人の心の移ろいを投影し、余韻を残す。もちろん、衣装も季節に合わせて変わる。
    気になったのは、文香が新作構想をまや子に聞かせる件、花魁の影絵が映し出されるが、少し安直なような。その演出がなくても十分聞かせるものだと思う。

    最後に、観たのは午前11時からの回。この回を含め何回かは「イベント託児・マザーズ」として託児が利用できる。観劇するには嬉しく、女性ならではの細やかな気遣いが感じられる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/10/20 18:54

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