量産型ガラパゴス 公演情報 劇団ピンクメロンパン「量産型ガラパゴス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    表層的には民族差別のような内容だが、ラストに明かされる真実はもっと暗黒なもの。それを重層的に描き、ラストまで目が離せない秀作。

    「息をも吐かせぬ怒涛の展開と、現代日本にも通じる静かで無感情な怖さを描いた今作。鑑賞後、心に残るは希望か絶望か、孤独か絆か。是が非でも刮目もせし劇団史上最も壮大且つ緊密な作品」という謳い文句。物語は仮想、未来という設定であるから、現実問題に重ねても理解出来ない。しかし訴えようとするテーマは鋭く、物語性を併せて観応え十分であった。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、上演前は客席に張出した半円形の紗幕(暖簾のように切り込みあり)。開演するとそれが左右に開いて、異次元的な雰囲気を醸し出す。上手側上部には別スペースを設け、会見場所のように見せる。他にBOX椅子が数個置かれ、情景・状況に応じて並びを変える。

    梗概…物語はおじいさんが子供たちに童話を読み聞かせているところから始まる。その寓意ある内容がそのまま公演のテーマに置き換わってくる。
    舞台は地球以外の星、その近未来という設定である。その国では一部の特権階級(ランチャー)と市民(グラス)の間に大きな差別・格差があった。グラスのヴェイン(律人サン)は現状から脱するために中央官庁に入り、立身出世を果たすが、彼女は国が抱える大きな闇と陰謀に巻き込まれる。ヴェインの幼馴染はこの差別格差を崩壊させるため革命を企てるが、殺され頓挫する。一方ヴェインは権力を握り、いつの間にか差別する側に立ち、被差別者を圧政するようになる。立場が人を形成するのか、人の行為が立場を作るのか…人の立場が顔つきを含め性格が変わる恐ろしさを見せる。

    実は、この国ではもっと恐ろしいことを行っており…。その世界観の広げ方と暗部を抉り出すような急転に驚かされる。現代日本では完全な犯罪行為(臓器売買・移植⇒クローンへ)である。それを差別・被差別という表面的なところに隠蔽する。目に見えていることだけに囚われると事の本質が見抜けないという寓意を思わせる。

    セットはあまり作り込んではいないが、役者の演技力で物語の中にグイグイ引っ張り込んでいく。童話の読み聞かせは、その後の展開にあまり絡んでこないようだ。寓意性を示唆する冒頭シーンとしてはインパクトが弱い。
    演技は、律人さんの変貌ぶりに圧倒される。その姿はある首長を務める女性をイメージするが、その旨を帰りがけに話したところ、意識しモデルにしたとのこと。全体的に幻想と現実の世界が混じり溶け合った物語は観応え十分であった。

    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2017/10/02 16:55

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大