囚人 公演情報 Oi-SCALE「囚人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    林灰二(脚本)、村田充(主演)のコラボ公演。舞台という額縁に林氏が入り物語が始まり、途中で額縁から抜け出し、普通に喋り出す。演出は自由であり、お喋りも楽しめるが、集中力が途切れ再び物語の世界に入るにはけっこう”力”がいる。その意味で好みが分かれそうな公演だと思う。
    タイトル「囚人」は収監されていることではなく、口⇔人のように囲われの中に出入りする。人は何かに囚われ柵(しがらみ)の中で生きている。それが無くなった時は、もしかしたら”死”を意味する。

    少しネタバレするが、舞台セットは暗幕で囲い中央・上手・下手側に白い紗幕が吊るされている。まるで鯨幕のようだ。
    自分が観た回は満席で、通路に増席までする盛況ぶりであった。
    (上演時間2時間) 

    ネタバレBOX

    舞台全体が白黒で、先に書いた鯨幕以外にベンチ、工事現場のコーンが白色。舞台背景は、丘の上に建つ病院。その中庭かrら眺める風景は格別なもの。その風景も衣装を変えることで季節の移ろいを表し情緒感を漂わせる。また照明効果で海中風景を見せるなど素晴らしい演出が観られた。

    梗概…男は重篤な病の治療のため長く入院している。 街から離れ不便な場所にも関わらず度々訪問者が来る。皆、男の持つ《力》を頼りにして来る。男は寿命の残り少ない者を嗅ぎ分ける力があった。死が近ければ近いほど、その者の身体からある華の香りが強く漂うと言う。しかし、男は自分の寿命だけは分からなかった。そんな日々の中、あることをキッカケに男は異変に気づいた。あの華の匂いが、全員からする…。
    丘の上、すぐそこまで津波が来る。生き残ったのは、あそこに見える奇跡の桜のおかげである。この病院に入院している患者とその家族を通して生と死を見詰めるが、事前に死期を知ることでその心の準備等が出来るか、本当に知る勇気があるだろうか?公演では主人公以外に4組の家族がその自問自答を行う。そこに家族の形態や繋がり方によって対応が違うことが描かれる。ラスト…隠されたというか明かされた関係に驚かされる。

    「囚人」は漂う華の匂いを嗅ぎ分けて、他人の残りの寿命を知る特殊な力がある主人公由利太郎(村田充サン)が、死に向かう訪問者達と触れながら、自らも病に冒され最後の日へと近づいていくという、悲しみの漂う物語。
    「囚人」という文字に準えれば、舞台という囲いの中では”神様”である林氏が自由に描くが、囲いの外、つまり観客はどう思うか。
    全体的に幻想的なシーン、抒情的な雰囲気は、物語の心象形成に大いに効果的な演出であった。紗幕へのテロップや華の映しも神秘的で印象に残る。その中で緩い笑いを取り入れ緊張感を緩衝させるなど見事であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/09/30 17:54

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