四色の色鉛筆があれば 公演情報 toi「四色の色鉛筆があれば」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    “人間”が伝わる
    柴作品は罰ゲームのようだなと毎回思っていた。
    言い換えれば、柴幸男は自作を縛りまくっていた。
    別に洒落とかじゃなく、発想先行のイメージがあったのだ。

    4本の作品を観て、ちょっと考えが変わった。
    柴作品にテキストの面白みを初めて感じられたのだ。
    温かみと言い換えてもいいかも知れない。
    その温かみを届ける方法の模索が、柴演出なのだろう。
    そう思えるほど、4本とも“人間”が伝わってきた。

    丸くて温かい素直な短篇集の手触りが、まだ残っている。
    四色問題は、柴の手で一つの答えを見た。

    ネタバレBOX

    「あゆみ」
    ショートバージョンは、誤解を恐れず言えば百合っぽい。
    でもまあ、男同士で薔薇っぽくしても成立はするだろう。
    今はいない人を思う気持ちは、共通するものがあるだろうから。
    歩みの先に月があるって挿話。嫌いじゃない。

    「ハイパーりんくん」
    知識のリンクが、言葉に乗り、音に乗る様が心地よい。
    ネットサーフィンなんて言葉はもはや死語かもしれないが、
    まさに知識の波乗りだ。
    Wikipediaに人間を感じるか、感じないか。
    そこにこの作品の好き嫌いがあるように思う。

    「反復かつ連続」
    四人姉妹+母+老婆という家族を一人でやりきる。
    音をどんどん多重にして、家に音が満ちていく様はじわじわ面白い。
    その音の重なりから外れたところにいる老婆に、胸を打たれる。
    ハーモニーからずれたところにも音があることを見せられたようだ。

    「純粋記憶再生装置」
    時系列が遡る話としては、特段面白くはない。
    ただ、遡った先に恋人同士の記憶に齟齬があり、
    その齟齬が問題とならなかった瞬間は、ちょっと好感。
    真っ白な紙で敷き詰められた床は、圧巻の一言。

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    2009/01/30 07:38

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