「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」「ダンパチ15・獣」 公演情報 ショーGEKI「「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」「ダンパチ15・獣」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    日常が非日常に転換(無人島生活)した結果、その環境・状況から受ける刺激は”逝き”から”生き”へ意識が変化して行く。タイトル「REVIVER・リバイバー~15老人漂流記」は「二年間の休暇(十五少年漂流記)(邦題)」(ジュール・ヴェルヌ)のパロディのように思った。ヴェルヌ作では、全員男の子、青少年であるが、この公演では男女7人ずつの老人とツアーコンダクターの中年女性である。その世代間のアイロニーが可笑しく、時に哀しい感情が伝わる。物語はテンポ良く2時間強がアッという間であった。
    【Bチーム】

    ネタバレBOX

    セットは、舞台側(浜辺)から客席側(海側)に傾斜しており、後景は密林を思わせるような壁画。上手側と下手側に別スペース。ほぼ素舞台で役者の演技で観せる。時間軸は漂着時から順に経過しており、経過日数は時々フリップで示す。時間順であるが、その容姿は逆に遡行するように若返る。物語は考えを巡らせることなく、観たまま素直に受け入れやすく、瞬時に楽しめる。

    梗概…65歳以上が対象の世界一周の船旅。オーストラリアに向かう途中、嵐で船は転覆し、15人が無人島に漂着した。そしてこのメンバーを助けるため1人の男が亡くなった。しかし幽霊となって…その姿は妻だけにしか見えない。そして無人島生活が始まったが…。
    15少年だと仲違いを越えて”成長”するというストーリーが、老人だと余命を意識した”生長”が語られる。この生長を巡って、中年(38歳)ツアーコンダクターと老人達の「老い」の定義についての話が興味深い。

    漂着直後は、島での生活が出来るか、という根源的な問題であったが、それがある程度解決すると人が持つ生来の欲望が露わになってくる可笑しみ。人の欲望は際限がない。島で暮らすうちに段々と若返ってくる見た目の肉体。一方、実年齢は変化していないのだろう。その悲哀のような心情表現は、卒業式で見かける「不安」と「期待」・「絶望」と「希望」・「過去」と「未来」という呼び掛けで印象付ける。そして心情吐露、もしくは印象付けするシーンでは”歌”で魅了するなど、観せ方に工夫(変化)をしている。

    役者は、登場人物の性格や立場さらにはその存在を上手く表現しており、その人柄なりが見えてくる。自分は、老人達とツアーコンダクターの老若の世代間にみる本音、主張の違いを言い合うシーンに惹きつけられた。結局、直接的な行為として、女性を担ぎ上げ、縛り、軟禁する老人たちの行動は、可笑しみとともに怖さも見えてくる。自分たちと同じ環境が心地よい。異なる人種、世代は排除するという怖さ…夢は覚めなければ夢は終わらない。その防衛本能がラストシーンへ…。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/08/04 19:55

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