キリンの夢3 公演情報 THE REDFACE「キリンの夢3」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     開演の大分前から、プロ歌手にエレクトーンかシンセの伴奏付で、歌謡ショーのようなものが演じられているが、今作との関係がイマイチしっくりこなかったり、声はいいのだが、選曲とリズムが合っていなかったりで却って興ざめをしてしまった。

    ネタバレBOX

    おまけに、フライヤーには書いてあるものの、劇場の指定席座席表と公演関係者の付けたS席だのA席だのB席だのが異なり、受付にも劇場の座席表の所にも表示が無い為、観客は、主催の座席割り当てのコンセプトがハッキリ掴めず、混乱をきたすもととなっていた。もう少し頭を使ったらどうだろう! 別紙で、どの部分がA、B、Sと劇場座席表の横にでも貼り付けておけば、気の利いた観客はそれを頼りに正しい席に座るのだ。スタッフはそれでも目が悪いとかで自分の席を発見できない観客だけに対応すればよいのである。
     こんな要領の悪さで観劇前にインセンティブが大分削がれてしまったのは残念だ。扱われている事件は、光クラブ事件。東京大学文科Ⅰ類主席の主人公が代表となって興した闇金を巡る事件である。戦後直ぐの時期だから、東大も今ほどおちゃらけたイメージではない。東京帝国大学のイメージの方が圧倒的に強かったハズである。その頃の帝大と言えば、現在のフランスでENAなどに相当する超エリート校であり、末は博士か大臣かが、ジョークではなく通用した。それほど権威があったのである。因みにENAなどの卒業生の初任給は、通常の大卒の5倍程度である。
     話が脇に逸れた。光クラブ事件は余りにも有名だし、三島も「青の時代」で扱っているからご存じの方の多かろう。従って事件についての詳しい説明は省く。書いておくべきは、主人公、山崎が今作で太宰 治と会い、決定的な言葉「人間失格」を投げかけられていることである。無論、これは太宰の傑作小説のタイトルであり、そのことも科白で言われているのだが、山崎の辞世の句”貸借法すべて青酸カリ自殺”に現れた幼いシニシズムをこそ憐みたい。落とそうと思い定めた女には、そっぽを向かれるどころか破滅させられ、太宰には本質を見抜かれた上に先立たれることで、最早、追いつき追い越す目標を抱くことさえ不可能にされた負け犬の愚かな末路は余りに悲しい!

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    2017/07/23 06:13

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