香典泥棒 公演情報 法政大学Ⅰ部演劇研究会「香典泥棒」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     いつもながらの中々凝ったセットだが、終盤、もっと驚く。この仕掛けには感心した。基本的に大人の狡さ、卑怯を嫌った若者達の、それでも生きていれば嫌も応もなく大人の年齢になってしまうことへのアンヴィヴァレンツや、そうなってしまうことの是非に対し、ちょっとしたピカレスク・ロマンの手法を用いたケツマクリ。若書きの粗さや、背伸びが見られなくもないが、ふつふつと湧き出るエネルギーと突っ走る勢いには爽快感さえ感じる。
    花四つ☆

    ネタバレBOX


     実際多くの子供達が思って居るハズだし、思ってきたハズだ。何を? って大人は矛盾だらけの馬鹿だということをだ。3~4歳にもなれば、この程度の判断はつく。だが、いつ頃何が原因でそう考えていた子供達の多くが自分の正当な意見や行為、そして権利を捨てて世間に埋没してきたのか? 金か? 必要なら稼げばよいではないか? 金だけが目当てなら何をやっても食ってゆくこと位はできよう。恋か? 互いに年を取らず、いつまでも若く美しく健康ならば、それも良かろう。然し、それにも限りがある。では、地位や名声か? そんなもの、健康を損ねてしまえばそれまでのこと。また、大きく儲ける為には仕組みを先ず作らなければならない。今作では、実はそれが図られていた訳である。人々のメンタルを操り状況を動かして、動いた金を喰う訳である。現在、資本主義のやっていることもこれであろう。本当の金持ち達は、長者番付けに載るような馬鹿なことはしない。ケイマン諸島やカリブ諸島を経由してどれだけの金が洗浄されているか、考えてみるが良いのだ。皮肉にも、大人を嫌って単純な子供のような反応をした者達は狡猾の餌食とまでは言わないまでも、単に右往左往させられ、更に社会的リスクを背負わされたにも拘わらず、それら総てを企んだ連中だけが、高笑いをしつつ、おいしい汁を吸っているのだ。現在のこの「国」の為政者ような完全に破綻した支配層を持つ社会に於いては、このように冷静に企まれた悪だけが、不善を撃つことができるのかも知れない。

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    2017/07/17 05:56

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