おれたちにあすはないっすネ 公演情報 なかないで、毒きのこちゃん「おれたちにあすはないっすネ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    いつもながら奇抜な演出が、(一応誰でも見る所に。タイトルに対しての個人的見解として、この劇団が”遊びをせむとや生まれけむ”の精神を失くさない限り、自分はあなた方の明日を信じますぞ!!)

    ネタバレBOX

     格別。何せ開演何十分も前から、女優が「小屋の扉を開けて下さい」って大声張り上げてんだから。結果、客は誰一人小屋に入れる訳でなく、階段に立って開演を待っているのである。二日間で八公演とトンデモナイ回数の公演をこなすのだ! が、その開演前にこの騒ぎなのである。初めロビーに入る為の扉も閉じられていたのだが、それも開演10分前きあ15分位前に漸く開くと、今度は内扉が開かない。女優は相変わらず一所懸命に頼み込んでいる。業を煮やした演出が、女優にサジェスチョンを与える。曰く女優としての武器を使え、と。女優は着衣を脱ごうとするが、衆人環視の前で嫁入り前の娘がすることでなし、今まで押していたのだから、引きでやって見ろとの指示。女優は「マッチ売りの小女」を演じ目出度くドアを開けることに成功するのだが、ドアを締め切っていたのは、解散を決めたばかりの弱小劇団メンバーたちであった。解散は決めたものの、演劇に対する未練ばかりで、新しいが、夢も希望もインセンティブも湧かない新世界へ飛び込むことができずに劇場ジャックをやっていたのである。小劇場演劇をやっている人間なら誰しもが抱える重く深刻な悩みを中心に、劇場を乗っ取られた劇団が、仕込みに掛かるべく設えられた木目も露わな平台を据えた正面舞台では、これから演じる作品の舞台稽古、通常、照明・音響スタッフが籠るブースでは、解散劇団の嘆き節、そしてロビーにもなるホワイエでは、スタッフなどの動きを演ずる芝居が同時進行する。3か所で同時に、異なる芝居が演じられているので、観客は無論、動いて自分の気に入った芝居を観ることができるし、適当な位置に腰かけて体の向きを変えたり首を捻ったりしながら、それぞれの劇を観ることも可能だ。こんな具合に三者の芝居が入れ子細工を構成しつつ舞台は進行するが、終盤、劇場ジャック劇団と、これから、ジャックされた小屋で演ずる劇団との間に争闘が起こり、遂には弱小劇団がケチョンケチョンにやられてしまう。だが、その惨めな敗北の最中、起死回生の弱小劇団への共感と滅びゆく者達への惜しみない共感が相俟って歌が生まれ、両劇団参加のミュージカルが生まれたかのような展開になるのがクライマックス。この直後に観客は立ってロビーに移動してくださいの掛け声でロビー移動。観客が出払うと内扉が閉められ、終演ですの挨拶! これを楽しめる観客だけが、遊び心を満たして帰還することができる。んだっちゃ!! にゃん。

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    2017/07/12 02:25

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