「母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ~キャンピングカーで巡る真冬の東北二十都市挨拶周りツアー♨いいか、お前ら事故るなよ、ぜったい事故るなよ!!編~」 公演情報 劇団 短距離男道ミサイル「「母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ~キャンピングカーで巡る真冬の東北二十都市挨拶周りツアー♨いいか、お前ら事故るなよ、ぜったい事故るなよ!!編~」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     太宰治作「人間失格」のあらすじに則り、出演者(加藤隆 小濱昭博 本田椋)の私生活と、ダメ人間エピソードを絡めて展開していく、メタ構造の喜劇でした。観客参加型の仕掛けも誠実で好感の持てるもので、演劇作品としても面白く拝見しました。「元気な男子が所かまわず脱ぐのであろう」と予想して伺いましたが、それほど露出が激しくなくてホっとしました(笑)。プロジェクターの文字および映像、照明、選曲も効果的で、俳優が半裸で暴れる中(笑)、高度なテクニックで劇世界へと誘い込んでくれました。

     作品をより楽しむためのノートとして「人間失格」のあらすじ(はしがき、第一の手記、第二の手記、第三の手記、あとがき)が配布物にまとめられていました。私は大昔に読んでほとんど忘れていたので、開演前に読んでおいて助かりました。

    ネタバレBOX

     開演前に、本田さんが携帯電話云々の前説を物まねで披露してくれました。「フレディ・マーキュリー、菅野美穂、藤原竜也の三択」の中から観客が「藤原竜也」を選び、テレビや映画で有名なのであろう、藤原竜也さんらしいセリフを交えながらの熱演です。もう、これだけで仙台に来てよかったと思いました。

     体を張ったギャグが多かったですね。なぜか乳首を洗濯バサミで挟む!(笑) 洗濯バサミを紐でつないで、3人で上半身裸のみつどもえ状態になったり!もう…バカバカバカ!(褒め言葉です・笑) アントニム(対義語)・ゲーム、シノニム(同義語)・ゲームも可笑しかったです。「切手のないおくりもの」の歌詞を太宰風に変えていくのも面白かったですね。タイトルが「希望のない日陰者」になっちゃったり(笑)。

     葉蔵(加藤)とツネ子(小濱)が心中に至るエピソードが文楽風になってたのも良かった~。本田さんは手作り(?)三線を演奏しながら太夫のように謡っていました。葉蔵とツネ子の道行はしっとりとした情感が伝わりました。文楽人形を脱いで、全員が葉蔵に変身する時は、使っていた人形や道具を舞台中央に集め、その上にこたつを被せて隠したのが秀逸でした。

     出演者3人の実のお母様が息子に向けて話された言葉の録音が流れました。「結婚して子供をつくって育てて欲しい、でも収入が安定していないから結婚できない、親として心配」という赤裸々なもので、しかも3人の幼い頃からのスナップ写真を映像で見せていくので、余計に生々しいです。本田さんのお母様からはお言葉を頂けなかったそうで、本田さんご自身の声のアナウンスが流れました(笑)。

     小濱さんは「ネットゲームに耽ったり浮気したりしたために恋人にフラれた」という自虐的なエピソードを、淡々と話すのがお上手でした。複数役の演じ分けもくっきりしていて、説得力もあって良かったです。

    0

    2017/06/12 22:39

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大