Die arabische Nacht|アラビアの夜 公演情報 shelf「Die arabische Nacht|アラビアの夜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    公演では、マンション内は断水という設定であるが、観劇日はドシャ降りの雨という皮肉。最寄り駅から徒歩12分とチラシに書かれており、行くのを躊躇ったが、観に行って良かったと思う秀作であった。原作は、ドイツ人作家・オーランド・シンメルプフェニヒ氏だが、その翻訳劇は外国作品というような違和感を感じなかった(登場人物名は原作通りのようであるが)。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    文化が国民性を創るのか、国民性が文化を創るのか分からないが、翻訳劇ではその違いが怏々にして違和感を持たせる。しかし、この公演は国民性を越えた人間の深い思いと典型的とも思えるような行動が観てとれる。その観せ方は、特に照明や音響といった舞台技術に頼ることなく、役者の演技力・その体現のみに依る。にも関わらず、情景と状況はしっかり伝わるという心象形成は見事だと思う。

    会場はCLASKAの8階ギャラリー。窓からは、都心の夜景が濡れて幻想的な光景を見せている。舞台はコンクリート床にソファー、その傍らに残り少なくなったウイスキー瓶。周りを囲うように線が引かれ、その外側に客席(パイプ椅子)。

    役者が発語する擬音のブザー音、パントマイムによる状況説明など、「ト書」と「台詞」を起用に区別して物語を展開させる。その世界観は、過去と現在の交差。その繋がりがこの部屋にある。
    この部屋(マンション8階。この会場と同じ階数にした状況演出か)には女性2人が住んでいる。登場人物は、この2人、マンション管理人(男)、部屋女の彼氏、この部屋を覗いている男(後の闖入者)5人のみ。それぞれが自分の思いを遂げようとしている姿がコミカルに描かれる。

    上演前からソファーで眠り続ける女性、20年ほど前に旅行先で両親をはぐれ迷子に…その記憶・心の彷徨や嫉妬と呪いを思わせるような描写が滑稽と怖ろしさを感じさせる。同時にその女性に対する男性の本能、それを抗い切れない行為が可笑しい。
    これら全てが、役者の発する言葉と表現する身体で観せる作品、堪能した。
    なお、ギャラリー会場ということもあり、柱を舞台の区切りにしていた。自分の席(演技者との間に柱がある)から闖入男が女性を(脚立の上)覗いている演技が観にくく、その見切れが残念であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/06/06 13:04

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