木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談ー通し上演ー』 公演情報 木ノ下歌舞伎「木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談ー通し上演ー』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    2004年の Ort-dd『四谷怪談』は、伊藤喜兵衛の役柄を改編・強調して別の劇に仕立てていた。《トスカ》的な物語に。あれはあれで非常に優れていた。

    ネタバレBOX

    色が褪せた定式幕のような色味の、やや前傾した舞台。稼動して真ん中に掘りが出来る。奥のライトが並んだ壁。冒頭にビニール幕が下りてくる(向こう側がスクリーンの役目か)。一幕目は衝立で細かく分離。二幕目は手前と奥にハイバイの透明ドアのようなセットで一つの室内。三幕目は堀を背景にした室内と若干の転換で平面。
    一幕目はジェット機やヘリコプターの騒音とシンセサイザーによる祭囃子のような音楽が効果音として使われる。二幕目は、シンセサイザーによる、ヒップホップ調の曲や女性ボーカル曲。三幕目はブザー音とポップス、ヘビーメタルのリフ。一幕目は単調で雑に感じる。髪梳き場面は『劇的なるものをめぐって』的か。
    科白は、歌舞伎の決め台詞とわかりやすい口語の組み合わせ。衣装も着物と洋服のごっちゃ。
    尼崎ロマンポルノの田中真和さんという役者が出てきて、小柄な男と童子をシームレスに、鷺、おそらく鼠をやるんだけど、あれは驚き。山の手事情社の山田浩平さんのずるい版。
    三幕目は、迷い家の伝説や、手児奈姫伝説が織り込まれていた(民話パターンが入り込んでくるのは大衆文化、芸能の特徴。独自の理屈で展開し、受け入れるのに抵抗を感じさせるのが芸術)。忠義小平?の場面、薬を出してきたのは、伏線回収としてやや驚き。身体の不自由な人間をジーッと描くのがすさまじい。薬、薬、薬の物語。貧困にあえぐ者たちの物語。ちんぴらの生態や行動パターンの描写がリアル。提灯抜け、仏壇返しは省略。

    0

    2017/05/27 15:51

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大