さざなみ降る夏 公演情報 劇団しどろもどろ「さざなみ降る夏」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

     今作の作者は、虚構というものを描きたかったというのであるが、残念乍ら、演劇というものへの方法と理解がまだまだという感じが否めない。

    ネタバレBOX

    というのも導入部で完全暗転でもなく板に着き、観客の日常の時空から演劇的時空への飛翔を阻害しているからである。これなら開演前から板に着くなり、場見テープを貼って位置に着くなり、ちょっと費用が掛かっても良ければ緞帳を吊るすなりいくらでも方法はあるだろうに。
     余りにもモラトリアムにどっぷり浸かっていて、非現実と現実の決定的な差異を認識していないのではないか? そう感じたのは他でもない。冒頭にポリフォニックに演じられるさざなみ降る云々の科白群に対するリアルが何処にも提示されていないのだ。これでは、描きたかった虚構性は霞むだけだろう。そもそも演技をこととする演劇自体が虚構であることは明々白々なのであれば、虚構を演劇的に虚構化する為には、敢えてリアルを対置させる工夫が必要なことは自明である。だが、作者のアイデンティティーが、想像の域を出ていない為に、作者が現実だと思い込んでいる事は、実際には仮想現実であるにすぎず、結果、イマジネールな情報に対して、別箇の情報を対置することしかできていないのである。作者にお勧めしたいことは、そのモラトリアムを内側から破り捨てることである。

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    2017/05/22 01:24

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