ダズリング=デビュタント 公演情報 あやめ十八番「ダズリング=デビュタント」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    【西洋画版】
    客席という安全な場所から貴族という特権または富裕層の生態を覗き見るようなドキドキ感が堪らなく心地良い。公演の舞台美術が素晴らしく、会場に入った途端、物語の世界観に誘われる。観客は視覚から様々な物語を想像し、感覚を目覚めさせ開演が待ち遠しくなる。
    公演は様々なテーマを孕んでいるが、それが広がり過ぎると物語を繋げるのが難しくなっただろう。先に記した視覚表現の巧みさに加え、登場人物の性格付けや立場などが丁寧に描かれ、2時間30分の長編であるが飽きさせることなく観(魅)せる。
    (上演時間2時間30分 途中10分間休憩)

    ネタバレBOX

    舞台セットは高円寺・座1の天井部に近い通路まで使用し、登場人物が舞台下を眺める。その俯瞰したような視線は、見方によっては見下したような意味合いを持たせていたようだ。
    舞台板は三方に違う空間を作る。上手側は館主人の寝室であり、中央が大広間、下手側に応接および別空間の牢獄を出現させる。天井からは額に入った夫人の肖像画が吊るされている。

    梗概…第1幕は、貴族社交場での狡知、虚栄、嫉妬、羨望など虚飾の世界を妖艶な雰囲気を漂わせる。その華麗な社交場(館)の外では奇病(黒死病-ペストのよう)が蔓延し民が恐怖に慄いている。奇病の発症状況について、一見館内(特権階級)は安全と思わせるが、徐々に侵食してくる。また階級と貧富の違いを鮮明に現す仕掛けが牢獄である。第2幕は、下層民(獄に繋がれていた男)が貴族の虚栄の間隙に入り込み、強請脅迫をするようになり悲劇が…。物語は貴族という特権階級でも下層民でもなく、その中間的な市民階級である医者が狂言回しの役割を果たす。

    物語は仮想世界…そこに見える人間の本性のようなものは、場所や時代に関係なく自分の感情を揺さぶる。決して気持ち良いとは言えず、むしろ嫌悪する醜さがある。仮面を付けた舞踏は優雅であるが、その下に隠された邪悪な心は、意識無意識に関わらず人が持っている感情であろう。

    その表現は、階級・立場をしっかり体現しており魅了してくれる。重層な展開、華麗な雰囲気は第一級の芝居。そのタイトルは「デビュタント」に相応しくない洗練された公演であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/04/27 11:32

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