新入社員のイジメ方 公演情報 劇団カンタービレ「新入社員のイジメ方」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    観劇した4月は、新入社員が入社してくる季節。物語はその新入社員研修という社会人第一歩を教育するというもの…ではなくタイトル通り、どのようにイジメるか、そんな悪意ある話である。もっとも新入社員研修のシーンと別のシーンが並行して展開するようで、交互に描かれる物語は、その関係性が弱いと思われる。

    この公演…イジメでも楽しめたが、自分としては研修を通して学生から社会人へ変わっていく姿、または変わらない人間の本質的な面を描いた物語を観たかった。もっとも、そうすると劇としては「How To」的になるかもしれないが、そこは工夫次第であろう。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    舞台セット(転換も含め)は、面白いし見事であった。研修先の寺・本堂は素舞台に近く、中央奥に布が被せられた仏像らしき膨らみ。一方、この地の自縛霊が集まるスナック(上手側にカウンター・ボトル棚、下手側にテーブルセットが設える)は、ある程度作り込んでおり視覚的に楽しませてくれる。この場面転換が早く感心する。

    梗概…第3次採用組7名(日本人に多い姓-佐藤・鈴木・高橋・田中・伊藤・山本・小林-観客の中の同姓者への共感効果を狙ったか?)が山奥の寺で合宿研修する。この採用時点で第1次・2次組は京都の寺という区別・差別を表現する。確かに初めのうちは、社長の名前、社是を問うような研修内容であったが、段々と陰湿な苛めという仕打に変容していく。

    この山は姨捨山ならぬ人捨山と呼ばれており、自殺者が入山しくるという。そこに何故か、ゲイママ=スミ子・カトリーヌが経営?するスナックに悲恋の女性(ハナ)、覆面女子プロレスラー=ミス・マスカラス、東大=受験浪人生、侍浪人=斉藤次郎何某…など個性豊かな霊が集まり、夜な夜な繰り広げる騒ぎ。

    この2つの話(場面)が交互に出現し、次元が違うが時間軸は並行しているようだ。そして終盤近くで絡んでくるが、その繋げ方が強引のようだ。新入社員が研修の過酷さに耐えかねて自殺又ははずみによる事故か…この出来事によって交錯してくる。

    本公演で、研修中は財布・携帯電話等を人事部の人へ預けるシーンがあった。さて、新人にとって電話対応が第一関門となると思うが、受話器(固定電話)を取って対応する不安。また郵便物、ファクスなど日常生活から縁遠くなった手段も復活してくる。それに絡んだ”非常識”という新人(若者)ならではの常識、経験・体験を面白可笑しく研修として観せて欲しかった。

    大事なことは失敗から学ぶ、などキレイごとは言わないが、失敗を恐れることは前に進めないのも事実であろう。タイトルにあるカレーライスの意味、「夢」と「希望」というスパイスが利いて美味しそうだと。そうであればイジメという個人的な鬱憤晴らしの仕打ちから会社の研修・制度という大きな枠組みで描いていれば…少し残念であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/04/12 19:53

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  • らんのすけ さま

    やはり舞台セットの転換は見せ場でしたか。短い暗転の中で見事でした。
    さて、若い頃は必死だったことが、今では気にも留めないような。逆に一生懸命さがなくなり手を抜き、誤魔化すことを覚えてしまったようにも思う。

    若かりし頃の思いがよみがえる”普遍的テーマ”の芝居を期待しております。

    2017/04/22 13:30

    ご観劇ありがとうございました!
    新社会人には学生のころの勉強以上にいろんな難題が壁のように積みあがっている。社会人数年を過ごして若かりし自分を試みるとなんともない問題もあの頃は解決できなかった…どこを重点して演劇で見せたいか、伝えたいか、考えるところです。
    舞台セットの転換は私たち劇団の見せ場でもあります!そこに気づいていただけるのは嬉しいかぎりです。観てきた!クチコミありがとうございます。またのご観劇おまちしております。

    2017/04/21 01:58

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