座長芝居Ⅳ 公演情報 ネコ脱出「座長芝居Ⅳ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    インターネットの功罪、その罪の方はフェイク記事や憎しみ心ない言葉があふれ、政治の世界では嘘でも強く言っ(書い)た方が勝ちという危険な世の中を作り出しているかもしれない。「偽ニュース」が巧妙なのは、いくつかの事実と嘘をうまく融合すること。それぞれ関係ない「事実」の点を「嘘」という線で繋ぎ人を誣いる。

    偽ニュースを拡散し、それによって翻弄された人…書店でフィギュアを盗んだ疑いで人生が転落していく。人の心の闇と社会の闇、その隠蔽しようとする問題を鋭く、そして軽妙に描いたブラックコメディ。

    映画「すべての政府は嘘をつく」(2017年公開)を連想する。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    各劇団・団体の座長公演で、その表現力(丁々発止)は見事!舞台は素舞台であるが物語の状況・情景はしっかり浮かび上がる。その演技であるが、この劇場は真ん中に柱があり演出が難しいところもあるようだ。舞台上と劇場出入り口を閉じた壁を背に演技するシーンでは、同時に両方を観ることができないのが少し残念。

    物語…不都合な出来事は、それ以上のゴシップを大衆に与えることによって、”出来事”が隠せるという、まさに木は森の中といったもの。最悪の隠蔽手段を面白可笑しく観せる。

    梗概…失職した男(ネコ脱出主宰・高倉良文サン)は、ナックルパーク編集部にスカウトされるが、そこはダーク・ゴシップにまみれ、偽りまたは捏造する、そんなブラック企業である。彼がフィギュアを盗んでニュースになっていたころ、別の事件が起きていた。その事件を隠蔽するため国・内閣調査室が仕組んだ謀略だということが判る。国(政府)にとって不都合なニュースは、より国民に興味を惹かせるような事件を起こし隠す。この隠蔽(消す魔法)と事実・真実を暴く(出す魔法)との戦いの行方は…。

    本公演は、大企業における組織的犯罪や公的機関における隠蔽工作ニュースが日々報道される? 現代社会を生きる今、「個人はどう情報を収集し分析するか」を鋭く問うているようだ。現代は非常時でもないのにデマが世界を駆け巡り、本公演にあるようなウソで人を誣いる。また、”でまかせ”発言、”つぶやき”情報が溢れ、真実より見たままの事実が大事との気分、風潮が蔓延している。そのうち何が本当のことか分からなくなる。
    人はデマやウワサに惑わされやすい。その根っこにある人間の弱さに警鐘を鳴らすような公演、観応えがあった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/04/08 16:59

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