マークドイエロー 公演情報 もぴプロジェクト「マークドイエロー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    緊張感あふれる照明とアホダラ経(?)唱和の迫力に冒頭から圧倒された。
    正常と異常の境界は誰が決めるのか、複雑怪奇な共依存の心理、
    そして謎解きよりも“自己の喪失”に戦く男の孤独と焦燥感に共感する。
    狂言回しのさひがしジュンペイさんが軽妙さと渋さのグッドバランス!
    愛とは、暴走したがるもの。

    ネタバレBOX

    四角い舞台を四方から客席が囲んでいる。
    舞台中央には天井から床に届く長い布が、これもまた四角いスペースを作っている。
    布に囲まれたスペースが、何か神聖な場所のように見える。

    精神病棟の一室で目覚めた男は、自分の名前すら覚えていないという記憶喪失。
    「あなたが自分で思い出すことが重要なのだ」という医師とその助手の看護師。
    だが男が記憶を取り戻すことは、ある殺人事件の全容解明を意味していた…。

    親に捨てられて肩を寄せ合うように育った兄と妹。
    妹に対する兄の束縛が次第にエスカレートしていく様が
    台詞の端々から息苦しいほどリアルに伝わってくる。
    大学生になって、それを少しずつ疎ましく思い始める妹の変化が上手い。
    妹の彼氏の、優しいがキレると言動が180度変わるキャラが大変良かった。
    3人のキャラがくっきりして、衝撃的な“兄による妹殺し”に至る状況が説得力を持つ。

    その真実の再現シーンと、病棟で記憶を取り戻す治療を受ける男の日常が
    交互に描かれるという構成が効果的で、緊張感あふれる舞台だった。

    私の理解不足かもしれないが、医師の治療計画がイマイチよくわからなかった。
    警察の取り調べの一端を担うという立場は判るが、
    事件の関係者を連れてきて男に会わせるのが唯一のアプローチであり荒療治なのか?

    狂言回しとして心理学の教授が、解説を交えながら関りを持って行くという展開が
    非常に解りやすく、また客観的で冷静な視点が加わるところが良かった。
    さひがしジュンペイさんの知的で信頼感が持てる佇まいと台詞が素晴らしい。
    記憶喪失の男を演じた役者さん、(役名と俳優名が一致しないのがとても残残念)
    “記憶を失うことは自己喪失である”ことを体現している。
    誰とも分かち合えない孤独と焦燥感を見事に表していて惹き込まれた。

    愛はもともと極めて身勝手な個人的思い入れだと思う。
    だからこそ相手もそれに応えてくれると信じた時、至上の幸福に浸る。
    時にはそれが相手を傷つけるのに、信じた幸福を否定することが出来ずに暴走する。
    「キ」の烙印はその暴走の果て、社会から突き付けられたエンドマークだ。

    夢野久作の「ドグラ・マグラ」から着想を得たという作品、
    はあらすじしか知らないが、一度読んでみたいと思った。




    0

    2017/04/02 01:23

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大