ルリの恋と昆布の森は千年つづく 公演情報 オーガニックシアター「ルリの恋と昆布の森は千年つづく」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/03/26 (日) 17:00

    武蔵野芸能劇場の小さな劇場で、半分弱の入り。楽日なのに、もっと来てもいいのになあと思いながら観劇。
     3.11を背景にした劇の制作は、きっと難しかったに違いない。
     震災、津波、原発・・・と、あまりにも「現在」に近いからである。そしてしかも音楽劇。さらには「ぺてるの家」を
    重ねた設定である。おそらくは、どれか1つでも2つでも削除しておけば、「無難」な劇となるはずである。
     それを敢えて、すべて盛り込んだことに、スタッフの意気込みと熱意とが感じられ、それだけで敬意を表するものだ。

     総勢20数名の出演。ミュージカルとは違う。それぞれが歌の専門家ではないと思うくらい、「うまい・へた」にはばらつきがある。
     これも敢えてそうしたものだろう。音を聞いてほしいのではなく、心を聞いてくれと言わんばかりの構成であった。

     青年と、主人を震災で亡くした女性との恋愛が主軸となって物語は展開していくのであるが、先に挙げた原発やぺてるの家の実践なども、ぶれることなく、恋愛の推移の中に込められていて、2時間以上の劇も、飽きずに見終えてしまった。

     ときおり挿入される「笑いネタ」は、ことごとく失敗(笑)していたが、それはたいした問題ではなかった。

     理不尽な死のとなりにいて、運よく生き残った人たちが、「幸せになっては申し訳ない」といった考えに陥ることはよく聞くが(戦死した戦友に対する感情でもよく聞くことだ)、私にはよく理解できない面がある。むしろ「その分、幸せになろう」「理不尽な死を遂げることのない社会を作っていこう」とするのが、自然なのではないか。生と死とは紙一重だったとしても、そこで得られた「生」は、けっして自分のせいでも、おかげでもないのだから。

     この劇からは、もう少し考えないといけないことがあると思うが、これはまた・・・にしよう。
     ありがとうございました。素敵な劇、考えさせてくれた劇でした。
     俳優さん、みなさん表情が素敵でした。

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    2017/03/26 22:45

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