夢見る乙女じゃいられない 公演情報 たすいち「夢見る乙女じゃいられない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    たすいちの初期の出世作、満を持しての再演…その謳い文句通り、観応え十分な作品。最後まで目が離せない素晴らしい展開である。
    主人公の漫画家、その人の内面を少しダークファンタジーという観点から描いているが、単に人間性という描きだけではなく、社会性に切り込む鋭さも垣間見える。
    初日、アフタートーク時にネタバレに配慮とのコメントあり。(2017.4.1追記)
    (上演時間1時間55分)

    ネタバレBOX

    舞台美術がすでに漫画の世界へ誘う。壁面には漫画のコマ割、吹き出しなどを作り、中央にテーブル・椅子、下手側は机、大きなエンピツ立、その中に鉛筆が立っている。段差を設けてあるが、雑誌頁をイメージさせると共に、異空間(現実の仕事場、大学サークル室と漫画内の世界)を演出している。

    梗概…原作が苦手な漫画家が連載の打切りをされた。そこで原作は面白いが作画が下手な新進漫画家と組ませ、新たに「夢」をテーマに新作ファンタジーを連載し始めた。その連載は好評であったが、読者が意識不明になる奇妙な出来事が…。

    漫画世界の登場人物と漫画家や読者と同化したように描き、対象になっている人物の内面を暴くよう。その観せ方は2役1人という自分の分身を鏡像として映し出し、序々に自分自身を曝し出す。自分が知らない自分の心内、その心理的な見せ所が、ジョハリーの4つの窓のうち、第4窓(自分も他人も知らない未知の領域)を連想してしまう。

    漫画テーマ「夢」ということもあり、「獏(バク)」が現れ人物の夢を食べてしまう。その際、ミニ和傘を翳し”バク”という音響効果が印象的。漫画世界をさらに漫画的に描く、そのパラレルワールドをフラッシュ・バックさせるような演出は、少し混乱しそうになるが、それはラストシーンへ帰結させるための印象付のようである。

    登場するのは人間、妖怪(メイクが愛らしい)と異なるものであるが、そこにも平等・差別がない、そんな台詞をサラッと言う。くどい説明にすれば教訓臭になるところを抑えるところも巧い。そして「漫画を描くのは読者に夢と希望を与えたい」というメッセージを伝える。その精神は、当日パンフの目崎剛 氏の「どれだけ嫌なことがあっても(漫画)一冊読み終わる頃には嫌な気持ちがどこかに行く」に通じ、「それを目指している」と…。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/03/24 17:20

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