ダンデライオンII~飛龍伝より~ 公演情報 ThreeQuarter「ダンデライオンII~飛龍伝より~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    JOYJYO…初めて行く会場であるが、要所要所にスタッフが立ち、道案内をしており分かりやすかった。また場内は乾燥しているのでアメを配っており、制作サイドの気配りが嬉しい。この劇団「スリークウォーター」は、「4分の3」の意味。劇団員以外も客演、スタッフ、そして観客と「1」になることを目標に活動しているという。その思いがしっかり伝わる対応であった。

    物語は、つかこうへい の有名な作品。それを清水みき枝女史の演出で「卵」「雛」「鶏」チームのバトルロイヤル公演第十弾として上演した。
    【鶏チーム】を観劇したが、1960年安保反対学生運動の熱量が役者の演技の熱量を通して伝わってくる。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台は、いくつかの平箱(赤が印象的)を積重ね貼り合わせバリケードをイメージさせる楯が左右に2つ。それは可動するもので、その配置によって闘争状況を演出する。赤は赤旗、故郷のリンゴを連想させる色として使用している。細かいことだが、学生側は、大学名が書かれたヘルメット、大学(法政、早稲田)校歌、角材を用意し、機動隊側は警棒、制服など舞台技術も良かった。

    梗概…1960年安保反対学生運動を指揮した全共闘委員長・神林美智子と第四機動隊隊長・山崎一平の間に生まれた子「勝利(かつとし)」は国会前である男と会う。この子の俯瞰するような回想を通して、二人の馴れ初めから別れまでを緊迫感溢れる物語として描き出していた。

    つか作品らしく、学生運動をしている学生の方が機動隊の給料より仕送額が多い。学歴にしても然りである。国家権力の象徴として登場する機動隊、革命を叫ぶ学生の暮らしが、その生活レベル(貧富)において逆転しているアイロニー。
    ”革命”とは人と人が信じ合い赦し合うこと、と叫ぶ。その信念のためには体も…その哀しいまでの行為。立場が人をつくるというが、その典型的な展開に抗うことができず、運命(さだめ)に翻弄される切なさがしっかり伝わる。

    演技は、鶏チームということもあって、迫力、緊迫感に溢れていた。この劇場は後部が一段高くなるが、ほとんど段差がない。それゆえ後部座席から伏臥、横臥したシーンが観えただろうか。特に客席寄りで演技をした場合、最前列の人の体で遮られてしまうので、演出上の配慮が必要になると思う。

    「やってられねえよ」ということを言わなくても済む世の中…そんな台詞があったが、本公演は「観られてよかった」という素晴らしい世界を観(魅)せてくれた。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/03/21 18:40

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