満足度★★★★★
技巧を尽くしたアメリカ現代劇
やはりブロードウエイの力と言うのはすごいものだ。多人種国家のアメリカが抱える人種問題は今や世界的なひろがりがある。現実にその渦の中で戦ってきたアメリカ人の葛藤が、かくもみごとな夫婦の物語となって観客の心を打つ芝居になってしまう。千人の劇場がもつ娯楽作でもある。凄い。
人物造形の見事さ、ストーリー展開のうまさ、たとえば肖像画、とかセットの絵とかの小道具や、俳優たちの衣装など細かいところにも行き届いていて満足する。
これは劇場の席のせいかもしれないが、主演の二人の早いセリフが聞きにくいところがあった。内容の複雑さからかもしれない。しかし、この二人(小日向・秋山)の演技力は、舞台俳優としては一級の出来だ。演出も隙のない栗山節がいい。よくこの芝居を見つけてきた製作にも拍手。いい芝居を観たと素直に感動して家路をたどれた。